「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書でメーカー、卸、医療機関・薬局が流通改善ガイドラインを遵守し、過度な薬価差やその偏在是正を図ることなどが記載されたことから、今回流通改善ガイドラインの改訂を行うことになった。
総価取引によって安定供給に支障を来す恐れがある基礎的医薬品や安定確保医薬品、不採算品再算定品、血液製剤、麻薬および覚醒剤については、価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とする。
従来のガイドラインでも原則、全品目単品単価交渉に基づく契約を行うよう要請していたが、流通改善が進んでいない実態を踏まえ、医療上必要性が高い医薬品から推進していくとした。新薬創出等加算品等についても「引き続き単品単価交渉を行うものとし、流通改善が後戻りすることのないよう」注意を促した。
一方で、1社流通を行うメーカーは卸と協力し、その理由を医療機関・薬局に丁寧に情報提供するほか、医薬品の安定供給を行うこととし、説明責任と安定供給責任を明記した。
医薬品供給が不足している状況では、メーカーと卸に在庫の偏在防止、卸と医療機関・薬局には過剰な発注は控え、当面の必要量に見合う量のみの購入を行うことを追記。特に薬局には、「自らの店舗で不足している医薬品について、系列店舗や地域連携により、可能な限り不足している医薬品の調整に努める」と役割を明確化した。
医療機関や薬局に対しては、ベンチマークを用いた一方的な値引き交渉に加え、同一の納入単価での取引を卸に求める交渉なども「厳に慎むこと」と追記。価格交渉代行業者にも適切に価格交渉を行うようガイドライン遵守を求める。
医療上必要性の高い医薬品を価格交渉段階から別枠で交渉していくことについては、卸の構成員から不採算品再算定品を開示するよう求める意見が出て、日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会の構成員も賛同した。