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循環器病に関連する健康の社会的決定要因、評価ツールの全体像解明-聖路加ほか

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2023年12月22日 AM09:10

循環器病の発症・重症化予防に大きく関わるSDOH

日本医科大学は12月11日、循環器病に関連する健康の社会的決定要因(SDOH:Social Determinant of Health)のスクリーニング/アセスメントツールに関する総説論文を発表し、近年の SDOHに関する関心の高まりと現状存在する評価ツールの全体像を明らかにしたと発表した。この研究は、聖路加国際病院循環器内科の鈴木隆宏医員、水野篤医幹、聖路加国際大学学術情報部の河合富士美マネジャー、同大の塚田(哲翁)弥生病院教授、野間さつき助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Circulation Journal」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

SDOHは、世界保健機構(WHO:World Health Organization)によって「人々が生まれ、成長し、生活し、働き、年齢を重ねる環境で健康上の結果に影響を与える医学的でない要因」と定義され、提唱されている。人々の健康を考える上で、予防可能な死亡のうち医学的な要因はわずかとされ、残りの大半がヘルスケアや社会経済学的な要素、周囲の環境などのSDOHの要素が占めると言われている。すなわち、循環器病においてもSDOHは発症予防・重症化予防に大きく関わっていると考えられている。例えば、医療機関から遠方で生活している人と、医療機関の近くで生活している人では、心筋梗塞や脳梗塞を発症してから医療機関に辿り着くまでの時間が異なり、結果として健康に格差が生じると考えられている。これらの不平等な格差を生み出すSDOHは、Healthy People 2030により大きく「社会的経済状態・就労問題」「教育レベル・」「ヘルスケアのアクセスと質」「近隣・環境問題」「コミュニティからのソーシャルサポート」の5つのドメインに大別されている。

循環器病SDOH評価ツール研究の大半は米国、包括的・同時評価ツールは現状ナシ

今回の研究では、既報の循環器病に関連するSDOHの評価ツールがどのように展開されているのか、SDOHの各項目の循環器病の転帰との関連性を明らかにしている。近年、循環器病のSDOHの評価ツールへの関心の高まりが2018年頃から急速に見られ、大半の研究は米国を中心としており、アジア各国からの報告は十分ではないことが明らかになった。さらに、さまざまな複合的要因の相互作用とフィードバックループから成立するSDOHに関しては、これら全てを包括的かつ同時に評価するツールが現状ないことも明らかになった。

2018年から文献増で心血管疾患SDOHの関心「高」

また、5つのSDOHの主項目をそれぞれ単一および複数のドメインに渡って評価するツールが同定された。対象の文献は、2018年から飛躍的に増加しており、心血管疾患分野における、近年のSDOHの関心の高まりとその評価ツールの実態が明らかになった。

循環器領域でのSDOH研究推進貢献に期待

SDOHのスクリーニング/アセスメントツールに関するレビューは国内外でも報告はなく、同研究成果は、循環器領域でのSDOHの研究推進に貢献するものと考えられる。また、SDOHの枠組みは地域特異性が高いため、国や地域に応じた適切な適用と調整を行う必要があり、今後、国内を含め、さらなる研究の展開が期待される。同研究結果を踏まえ、循環器病とSDOHとの関連に対する理解を深めるとともに、効果的な介入策の開発と実装を促進するために、さらなる臨床研究と社会的実施プログラムが今後より一層必要になる、と研究グループは述べている。

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