中央社会保険医療協議会総会は20日、2024年度薬価制度改革の骨子案を了承した。不採算品再算定に関する扱いを明記し、安定供給問題等に対応するため、企業から希望のあった品目に特例的に適用する一方、乖離率7.0%を超えた品目は対象外とした。選定療養が導入される見通しから、長期収載品に関する薬価改定ルールの見直しは実施しない。
骨子たたき台では記載されていなかった不採算品再算定については、医薬品全体のうち24%が出荷制限等になっている状況を踏まえ、4月の薬価改定に続き急激な原材料の高騰や安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用する。ただ、22年度薬価調査における全品目の平均乖離率である7.0%を超えた乖離率だった品目は対象外とする。
イノベーション評価では、国際共同治験を実施しているなど一定の要件を全て満たした品目について、新規収載時、効能・効果等の改定時における補正加算として、日本に迅速に導入したことを評価する「迅速導入加算」を新設する。新薬創出等加算の見直しも行い、企業指標に基づく加算係数の設定を廃止する。
後発品に関しては安定供給確保の観点から、安定供給が確保できる企業を可視化し、その企業の品目を医療現場で選定しやすくなるよう企業の評価指標・方法を導入し、評価結果を薬価制度に活用する。
24年度改定では、製造販売する後発品の供給実績、薬価の乖離状況に基づいて評価を行う。最初の後発品収載から5年以内の後発品、安定確保医薬品AまたはBに該当する後発品が対象で、各項目のポイントを合計した上位20%の企業をA区分とし、現行の後発品の改定時の価格帯集約(原則3価格帯)とは別に、該当する品目のみを集約する。
後発品の新規収載時に同時収載される内用薬が10品目を超える場合は先発品の0.4がけとする現行ルールは、最近の収載時の品目数や収載直後の乖離率の状況を踏まえ、「7品目以上」に厳格化する。
基礎的医薬品に関しては収載からの経過期間に関する要件を現行の25年から15年に短縮する一方、長期収載品は保険給付の見直しが行われるため、24年度改定では薬価改定に関するルールの見直しは行わない。