中央社会保険医療協議会は15日の総会で、長期収載品の選定療養について、保険給付と選定療養の負担範囲を議論した。8日の社会保障審議会医療保険部会では、長期収載品と後発品の価格差の2分の1以下とする方向で概ね了承していたが、この日の総会では診療側委員が患者負担が最も小さい価格差の4分の1を主張したのに対し、一部の支払側委員は患者負担が最も大きい2分の1を要求するなど意見が割れた。負担率は年末の予算編成過程で決定する見通しだ。
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「保険給付範囲の水準については、1割負担の患者のほうが3割負担の場合に比べて患者負担額の変化額が大きい。先発品と後発品の薬価差が大きい場合も患者負担額の変化額が大きいことが分かった」とした上で、「変化額の大きさを踏まえると、保険給付範囲の水準については4分の1程度の額として、できるだけ患者の負担額を少なくなるようにして様子を見るべき」との考えを示した。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も「一定の割合を求めることで、処方日数によって過度な負担がかかる。患者の負担増を最小限にとどめる必要がある」と述べ、池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も「4分の1が適当だと思う」と同調した。
これに対し、支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は、「後発品の使用促進に取り組んでいるが、限界に来ている。後発品の供給不安解消に向け、関連制度を大胆に見直すことを前提に、できる限り2分の1とする方向で進めていただきたい」と訴えた。
松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「患者の負担増に配慮しつつ、患者が後発品を使用するインセンティブが働く範囲にしてほしい」との考えを示した。
長期収載品の選定療養が導入された場合の医療現場における混乱を懸念する声も出た。森氏は、「同一の薬剤でも人によって選定療養となるケース、ならないケース、選定療養の対象となる薬剤、ならない薬剤が出てくる。現場の負担を理解いただき、配慮をお願いしたい」と慎重な対応を求めた。
池端氏も「今月は選定療養になったが、来月はならないなど混在する。薬局と相談して国民が混乱しないよう周知の時間を一定程度取ってもらいたい」と要望した。