メタ解析用の文献選定にかかる時間を生成AIで短縮できる?ChatGPTとElicitで検証
大阪公立大学は12月8日、医療分野における情報収集ツールとして生成AIに着目し、論文作成の際に膨大な時間を必要とする文献検索に活用できるかを検討したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の榎本大病院教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Hepatology Communications」にオンライン掲載されている。
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近年、ChatGPTをはじめとする生成AIに急速に注目が集まっており、情報収集やアイデア創出の場面など、さまざまな分野において活用されている。医療分野においても、新しい情報が日々増加・更新されていく中で、本当に必要な情報を取捨選択することは容易ではなく、情報収集の効率化が求められている。
研究グループは、2020年に分析方法メタアナリシスを用いて、B型肝炎治療薬エンテカビルとテノホビルは同等の肝発がん抑制効果があることを明らかにしている。メタアナリシスには多数の文献が必要であることから、31の対象文献を選定するために5,669の文献を詳細に検討し、選定には膨大な時間を費やした。そこで今回の研究では、この選定プロセスに生成AIを活用できるかどうかを検証した。なお、研究では2種類の生成AI、ChatGPTとElicitを使用した。
ChatGPT提案は多くが架空の文献、Elicit提案は研究者の選定精度と同程度の70文献
ChatGPTとElicitどちらにも同じ臨床的な問いかけと文献の選定基準を入力したところ、ChatGPTから提案された文献の多くは実際には存在しない架空の文献だった。一方、Elicitでは、研究者が自ら選定する精度と同じ程度の70の文献が数分で提案された。
発展途上だが、生成AI活用で膨大な医療情報を効率的に収集の可能性
同研究成果は、生成AIを活用することで、膨大な医療情報を効率的に収集できる可能性を示唆している。現段階では、生成AIの性能は未だ発展途上であり、必ずしも全て信用できる情報ではないこと、また必要とする情報の種類によって生成AIを使い分ける必要性がある、と研究グループは述べている。
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