日本の接種率は諸外国よりもかなり低水準
大阪公立大学は12月7日、女子大学生を対象にHPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査を実施し、その結果を発表した。この研究は、同大看護学研究科の髙 知恵講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「JMA Journal」に掲載されている。
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HPVワクチンは、子宮頸がんを予防できる唯一のワクチンである。妊孕世代にある若い女性に多い子宮頸がんの予防には、HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診が重要だ。日本におけるHPVワクチンは2013年4月に定期接種になったが、副反応の報告により数か月で積極的勧奨が中止された。そのため、日本の接種率は諸外国よりもかなり低水準となっている。具体的には、厚生労働省「定期の予防接種実施者数」(2019)では、日本1.9%、米国49%、英国82%となっている。しかし中止による子宮頸がん発症・死亡率の増加が明らかとなり、2022年4月から積極的勧奨が再開されている。
積極的勧奨が中止されていた期間に接種対象年齢だった大学生を対象に調査
研究グループは今回、積極的勧奨が中止された間に接種対象年齢となっていた20~24歳の女子大学生を対象に、HPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査を2021年4~7月に実施(有効回答252人)した。調査では、セクシュアリティに関する認識・行動を含めたアンケートを実施した。
子宮頸がんや性感染症に関する知識が接種行動決定の満足度と関連
分析の結果、「保護者の推奨」や「ワクチン接種の話題」「副反応への心配が少ないこと」がワクチン接種行動に影響していることがわかった。また、「HPVや子宮頸がんに関する知識」や「自分は性感染症にはかかりにくい」という自己認識等がワクチン接種行動決定の満足度に関連する要因になることもわかった。
「HPV感染は自身のセクシュアリティに密接に関係する非常にプライベートな問題ではあるが、正しい知識と自身の意思決定のもと、ワクチン接種有無について検討することが重要だと考えられる。医療従事者からの、接種対象者やその保護者に対する正確な情報提供、知識醸成の支援は健康増進に向けた重要な課題だ」と、研究グループは述べている。
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