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脳血流の総量は男性より女性の方が多いと判明、若年でより顕著-名古屋市大ほか

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2023年12月07日 AM09:10

年代別/男女別に、脳の部位・左右差と脳血流の関係性を3D画像解析システムで解析

名古屋市立大学は12月4日、若い女性は男性よりも脳血流の総量が多い傾向にあることを明らかにしたと発表した。この研究は、、東京大学、大阪大学、東京都立大学、山形大学、東北大学、、富士フイルム株式会社の共同研究によるもの。研究成果は、「Aging and Disease」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

脳の容積は20歳から加齢により徐々に減少し、それに伴い脳循環に必要な血液流量も徐々に減少することが知られている。さらに、大脳皮質・灰白質は加齢により直線的に減少する傾向にあるが、白質は40代までは増加し、50代以降で減少する傾向にあることが知られている。

研究グループは、ヒトの脳血液循環と脳脊髄液の動きの頭蓋内環境をコンピューター上で再現してヒトの脳の自然老化現象をシミュレーションし、、認知症、正常圧水頭症などの脳環境に関連する病態を解明することを目指している。今回の研究では、医療機器として認可されている富士フイルムの3D画像解析システムSYNAPSE VINCENTの「脳区域解析」と「4Dフロー」アプリを用いて、脳と脳脊髄液の自動領域分割と脳血流量を計測し、健常者における年代別、男女別の脳の部位・左右差と脳血流の関係性について調べた。

総脳血流量は大脳皮質・灰白質の体積割合と相関し、加齢により直線的に減少

研究では、22~92歳までの健常ボランティア129人の協力を得て、高解像度の3テスラMRI装置を用いて頭部の3D T1強調MRI画像を撮影し、脳区域解析アプリで脳を21領域、脳脊髄液を5領域に自動分割し、各体積と頭蓋内容積に占める体積割合を計測した。

さらに同一被検者で脳のウィリス動脈輪を中心とした主幹動脈の4DフローMRIを撮影して、4Dフローアプリで、ウィリス動脈輪を形成する脳底動脈・両側の内頚動脈・前大脳動脈・中大脳動脈・後大脳動脈と前交通動脈・後交通動脈に対して直交する断面を通過する3D流速を計測し、3D流速×断面積から血流量(mL/min)を計算。頭蓋内容積に対する局所脳の体積割合と脳血流量について相関を調べ、年代毎の変化、性差、左右差について検証した。

その結果、総脳血流量は大脳皮質・灰白質の体積割合と最も強く相関し、加齢により直線的に減少していたが、ウィリス動脈輪よりも中枢側の両側の内頸動脈と脳底動脈の血流量の合計よりも、ウィリス動脈輪よりも末梢側の両側の前・中・後大脳動脈の合計と強く相関していることが判明した。

総脳血流量は全年代で平均女性の方が「多」、特に40代以下の若年で

頭蓋内容積は男性の方が女性よりも大きい傾向にあるため、脳の総容積は男性の方が大きく、頭蓋内容積に占める体積割合では男女差がなくなる。総脳血流量はどの年代においても平均して女性の方が男性よりも多く、特に脳容積が比較的大きい40代以下の若年女性の総脳血流量が多い傾向が明らかとなった。

総脳血流量と片頭痛や脳動脈瘤の発症リスクとの関連も検証予定

今回の研究により、総脳血流量はどの年代においても平均して女性の方が男性よりも多く、特に脳容積が比較的大きい40代以下の若年女性において総脳血流量が多い傾向が明らかとなった。

「特に40代以前の女性で総脳血流量が男性よりも多いことが、片頭痛や脳動脈瘤の発症リスクが女性に多い原因となっているのではないかと考え、今後さらに研究を進めていく予定だ」と、研究グループは述べている。

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