国家戦略特区を活用した調剤業務の一部外部委託の実証を検討している薬局DX推進コンソーシアム(狭間研至理事長)は2日、大阪市内で会員総会を開き、これまで検討してきた医薬品配送のスキーム、監査の方法論や責任の基準、委受託の際の価格、採算性など検討中の事項を会員企業に説明した。
この日は、同コンソーシアム内に設置された各検討委員会から現状の成果が報告された。安全性の検討では、契約患者の依頼や調剤委託時の手順書作成など、成果物をデジタルで活用するため、委託薬局から指示内容を受託薬局の分包機への指示までをシームレスに接続できる標準規格の作成と、各種記録・共有方法の手順作成を進めていることが説明された。
レセコンと調剤機器については、分包機連動の標準フォーマットの作成を進めていることが紹介された。委託元で指示した内容を受託薬局で再入力なしに分包機を稼働させるなど、データを標準化することで分包機メーカーを問わず、どの薬局にもいつでも依頼できる体制が整う予定とした。
有効性の検討では、地域支援体制加算に基づいて客観的な手法とすることをベースとするほか、患者にアンケートを実施。調剤業務の一部外部委託の適応前と後(約6カ月後)に会員20社の大阪市立地の全薬局店舗を対象に実施し、効果について顧客満足度などを比較、評価する。
経済性の検討では、参加各社に委受託の実勢価格調査を実施し、委託側からは平均値1オーダーで1000円前後という結果だったが、「受託側はボリュームにより算出すべき」との意見があったことから、今後目安となる価格帯案を提示する予定。
総会に出席した厚生労働省医薬局総務課の太田美紀薬事企画官は「対人業務充実のためのアウトプットをどう出すかが課題。薬局経営に貢献する人の時間だけでなく、業務負担をどれだけ捻出できるかデータを取ってほしい」と要望した。