日本薬剤師会の山本信夫会長は1日の定例会見で、2023年度薬価調査の速報値が平均乖離率6.0%と前年度から縮小したことを踏まえ、「乖離の幅がどんどん狭まっているのは事実」と改善を認めた一方、「薬価改定は要因の一つかもしれないが、頻回改定を是認したのではなく、本来あるべき姿ではない」と毎年薬価改定に対して反対の立場を強調した。
同日の中央社会保険医療協議会総会で公表された今年度の薬価調査結果の速報値では、平均乖離率は前年度から1.0ポイント縮小して6.0%、21年度は7.6%と乖離率は縮小傾向が見られる。
今年度の速報値について、山本氏は「乖離の幅がどんどん狭まっているのは事実」としつつ、「薬価改定は要因の一つかもしれないが、むしろそれによって起こる弊害の方が今まで大きかったのがこの数年間だ」と強調。毎年薬価改定の影響などで、国民に必要な医薬品へのアクセスが難しくなったと指摘した。
その上で、「われわれは頻回改定を是認したのではなく、本来あるべき姿ではない。頻回改定すれば乖離幅が小さくなると思っては困る」とした。
森昌平副会長は、「製薬企業が厳しくなっていること、過度の薬価差に対する批判があってこの数字になった」と分析した一方、「中小薬局から見ると、6.0という数字はまだ偏在があると思う。1.0ポイント縮まったことは、薬局の管理コストに影響を及ぼすので、経営に関してはかなり心配」と述べた。
一方、11月28日に全国145薬局で開始した処方箋なしに緊急避妊薬を試験販売する調査研究事業に関して、長津雅則常務理事は「特に大きなトラブルはなく、順調に進んでいる」と説明した。
具体的な運用については、都道府県薬剤師会からの問い合わせが多数寄せられているとし、販売実績の数字等は、25年3月末予定の調査研究終了後に公表するとした。長津氏は「あたかも薬局でしか購入できないとの印象を受けているのではないかと心配している」とも述べ、「今まで通り産婦人科を受診してもらう方法もある」と強調した。