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新生児/乳児の消化管アレルギー、約半数は生後1か月までに発症-成育医療センターほか

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2023年12月05日 AM09:20

抗原特異的IgE抗体が検出されず、皮膚症状がみられないなどの特徴

国立成育医療研究センターは11月30日、日本の2歳未満の新生児、乳児の消化管アレルギー()に関する全国疫学調査を行い、、乳児の消化管アレルギーの約半数は生後1か月までの新生児期に発症しており、中でも重症度の高い嘔吐と血便があるグループでは発症の中央値が出生後7日目と早期発症であることがわかったと発表した。この研究は、同センター好酸球性消化管疾患研究室の鈴木啓子共同研究員、野村伊知郎室長、免疫アレルギー・感染研究部の松本健治部長、社会医学研究部の森崎菜穂部長、アレルギーセンターの大矢幸弘センター長、消化器科の新井勝大診療部長、厚生労働省研究班医師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Allergology International」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

食物蛋白誘発胃腸症は、生後間もない新生児や、離乳食を開始した乳児などで起き、原因食物を摂取して数時間後~数日後に嘔吐・血便などの消化管症状を起こす疾患。数週間後に発症することもあり、食物が原因であると気付かれにくい。約7割の患者では抗原特異的なIgE抗体は検出されず、また一般的な即時型食物アレルギー(IgE依存性)の主要症状である皮膚症状がないことも特徴である。消化管アレルギーは2000年頃から増加してきたと考えられている。今回の研究では、全国の患者を対象に、発症した日齢、どのような症状や合併症が起きているのかについて調査した。

確定診断を受けた80人を含む402人を対象に調査

2015年4月~2016年3月の間に消化管アレルギーを発症した2歳未満の新生児、乳児の患者について、全国疫学調査を実施した。調査の組み入れ基準として、消化管アレルギー患者を包括して対象とするパウエルの診断基準を使用した。日本全国の病院および診療所に質問票を送付し、医師が診断した2歳未満の消化管アレルギーの患者数、パウエルの診断基準への該当状況、初期症状に基づく4つのグループへの分類、発症日齢、合併症、原因食物について集計した。グループ1は嘔吐あり・血便あり、グループ2は嘔吐あり・血便なし、グループ3は嘔吐なし・血便なし、しかし慢性下痢や体重増加不良を起こす、グループ4は嘔吐なし・血便あり、とした。分析対象はパウエルの基準2のステップ3までを満たした「本症の可能性が高い」患者群402人と、そのうち「経口食物負荷試験などで診断が確定した」患者群80人だった。

嘔吐・血便ありの患者グループ、発症の中央値が出生後7日目で25%が重症

その結果、患者の約半数は新生児期に発症しており(発症の中央値が30日)、グループ1(嘔吐あり・血便あり)の発症は、出生後7日目(中央値)と、4つのグループの中で最も早いことが確認された。また、重症患者が全体で15.1%と少なからず存在していることもわかった。グループ1(嘔吐あり・血便あり)とグループ3(嘔吐なし・血便なし、しかし慢性下痢や体重増加不良を起こす)は重症が多く(それぞれ約25%と約23%)、腸閉塞(それぞれ約16%と約11%)、深刻な体重減少(それぞれ約14%と約23%)なども見られ、特に注意が必要であると考えられた。原因食物は牛乳由来ミルクが最も多く見られたが、母乳、治療用ミルク、大豆、鶏卵、米により発症した患者もいた。

生後間もない時期の診断方法や栄養療法の手順の検討が必要

今回の調査から、早期の治療用ミルクへの変更は大切であり、経口摂取による栄養吸収が期待できない場合は中心静脈栄養を行うなど、厳密な栄養管理が必要であると考えられた。特に嘔吐と血便が両方見られるグループ1と嘔吐も血便も見られないグループ3は重症がそれぞれ約25%、約23%と多く、注意が必要だ。さらに、発症が新生児期に多く、特にグループ1は約半数が出生当日~生後7日以内に発症することから、こうした患者では胎内ですでに何らかの免疫反応が始まっていると推測される。「生後間もない時期の診断方法、栄養療法の手順を検討するとともに、胎内感作の実態を明らかにすることや、発症リスク因子の同定をするための研究も進めていかなければならない」と、研究グループは述べている。

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