取りまとめ案は、既に公表していた「議論のまとめ」の記載内容から大きく変更していない。具体的には、▽処方箋医薬品以外の医療用医薬品(零売)は医療用医薬品について処方箋に基づく交付を基本とした上でリスクが高い医薬品を除き、例外的にやむを得ない場合については薬局での販売を認めることを法令上規定する▽一般薬の販売区分について、「薬剤師のみが販売できる一般薬」と「薬剤師・登録販売者が販売できる一般薬」の2区分に集約▽薬剤師等が常駐しない受渡店舗で、管理店舗の薬剤師の遠隔による管理のもと販売を可とする――などを記載した。
11月17日に開かれた規制改革推進会議ワーキンググループで構成員から多くの反対意見が出たものの、取りまとめの方向性を変えなかった。デジタル技術を活用した医薬品販売について、同会議側が「管理店舗と受渡店舗を同一都道府県内に限る」方針を撤廃するよう求めたのに対し、厚労省は「都道府県を越えた監視指導が難しい」と譲らなかった。
管理店舗が管理する受渡店舗数の上限を規定すべきでないとの指摘に対しても「現実的に管理可能な店舗数には上限がある」と主張。実証を通じて上限拡大を検討するなど慎重な姿勢を崩さなかった。
一方、濫用の恐れのある医薬品の規制強化案については、構成員から異論が相次いだ。直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする考え方には、日本チェーンドラッグストア協会や日本OTC医薬品協会の構成員が「OTCの利点を損なう」「濫用の実態に応じた個別の対策が必要」と訴えた。
濫用防止に向け、20歳未満の購入希望者に対するインターネット販売を制限する方向性については、落合孝文構成員(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)が「若年者に対してオンライン販売を原則とするのではなく、適切に実施できる場合はインターネットでも販売できるとすべきではないか」と投げかけた。
一方、森昌平構成員(日本薬剤師会副会長)は、「20歳以上についてもオンライン販売を踏まえるべき」とし、若年者だけでなく成人にもインターネット販売を不可とするなど、取りまとめ案よりも踏み込んだ規制強化を求めた。