武見敬三厚生労働相は同日の閣議後会見で、「緊急避妊薬を必要とする人が適切にアクセス可能となるよう必要な周知を図っていく」と表明。来年度以降については「予算が取れれば継続できる。OTC化に向け、調査研究での結果を踏まえて検討したい」との考えを示した。
試験運用では、購入希望者が対象薬局に事前で電話し、緊急避妊薬が売り切れていないことや、値段、購入に行く時間などを確認する。薬局に行く場合は、▽公的身分証明書▽お薬手帳(持っている場合のみ)▽スマートフォン、メールアドレス――などを持参する。緊急避妊薬の価格は7000~9000円で、薬局により異なる。
薬局に到着後、薬局で提示される2次元バーコートをスマホで読み取り、研究参加に同意後、事前質問票の記入と薬剤師との面談をもとに、緊急避妊薬の販売が可能かどうかの確認を受ける。
薬剤師により妊娠可能性が高い人や肝障害があるなどの理由で販売できないと判断された場合は、産婦人科やワンストップ支援センターへの紹介などの対応が行われる。
服用後のアンケートは計2回、スマホを用いて行われる。いずれも所要時間は2分程度。1回目は服用した薬局で行い、2回目は服用から3~5週間後にメールアドレスに届く。
調査に協力するOGP薬局(東京都荒川区)の薬剤師の鈴木怜那氏は、「試験的運用ではあるが、緊急避妊薬を必要としている人にとっては選択肢が増えた形になる。これをきっかけに、薬剤師を含む国民が緊急避妊薬をめぐる動きに興味を持ってもらうことが重要」と述べ、「薬局が地域資源の一つとして、医療機関や保健所、社会福祉センターなどと地域住民をつなぐ役割も担えれば」と期待を込めた。
一方、緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクトは同日、厚生労働省に対し、緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知と、迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書を提出した。
要望書では、試験的運用実施に関する事前の十分な告知や薬局での入手可能時期の情報が行き届いていないと主張。あらゆる手段を用いて国民に広く周知することを求めた。
試験的運用を実施する調査協力薬局の拡大に加え、緊急避妊薬の迅速、全面的なOTC化を実現するよう改めて要請。試験的運用のデータ数が少ないなどの理由で、これ以上調査や検討を先延ばしにしないよう訴えた。