SGLT2阻害薬、糖尿病を有する心不全患者への効果は?
国立循環器病研究センターは11月28日、2型糖尿病を伴う慢性心不全患者において5mgを中心としたダパグリフロジン投与が尿アルブミン排泄量への効果を認めないものの、心血管イベントを抑制することを同定したと発表した。この研究は、同研究センター臨床研究開発部の北風政史前部長、腎臓・高血圧内科吉原史樹部長らを中心とした、国内18施設による多施設共同研究グループによるもの。研究成果は、「eClinicalMedicin」に掲載されている。
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糖尿病は、心血管疾患のみならず腎臓病を引き起こす。SGLT2阻害薬ダパグリフロジンは、糖尿病治療薬として上市され、糖尿病のみならず、心不全や腎不全を改善することが示されてきた。しかし、糖尿病を有する心不全患者に対して、ダパグリフロジンを使用した時に腎機能障害が改善するかどうかは明らかでなかった。
2型糖尿病を伴う慢性心不全対象、尿中アルブミン排泄量・心血管イベントの抑制を検討
研究グループは、2型糖尿病を伴う慢性心不全の症例に対して、ダパグリフロジン投与量を5mgから開始、10mgまで増量可能とし、尿中アルブミン排泄量を抑制するか否か、さらに心血管イベントをも抑制できるか否かを検討。多施設共同、無作為化、非盲検、標準治療対照、並行群間比較のDAPPER試験として実施し、2年間経過観察した。心不全ではダパグリフロジンを10mg投与するが、同試験は糖尿病+心不全の症例を対象としているため、ダパグリフロジンは5mg/10mgのどちらを投与しても可とした。
標準治療群と比較、尿中アルブミン排泄量は有意差認めず/心血管イベントは抑制確認
試験の結果、2年間の観察期間終了時のダパグリフロジン群において87.7%の患者で5mgが投与されており、主要評価項目の尿中アルブミン排泄量に標準治療群とダパグリフロジン群間で有意差を認めなかった。副次評価項目の心血管イベントは、標準治療群に比べてダパグリフロジン群で抑制されていることが明らかになった。
2型糖尿病を伴う慢性心不全患者において、5mgを中心としたダパグリフロジン投与が心血管イベントを抑制した報告は今回が初めとなる。同研究成果は、2型糖尿病を伴う慢性心不全患者の治療戦略を考える上で貴重な根拠の一つとなると考えられ、臨床医学に貢献するものと期待される、と研究グループは述べている。
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