従来の油性マジックより耐久性、安全面に優れる
近畿大学は11月21日、放射線治療や手術で患者の皮膚に目印をつけるマーカーとして、発がん性物質を含まない「HMスキンマーカー」を開発したことを発表した。この開発は、同大医学部放射線医学教室(放射線腫瘍学部門)の門前一教授、同小児科学教室医学部の宮崎紘平講師を中心とする研究グループが、早川ゴム株式会社と共同で行ったもの。東洋メディック株式会社の協力のもと、11月23日から医療機関向けに販売を開始した。
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放射線治療や手術の際、治療の位置を正確に把握するため、医療現場では皮膚マーカーが用いられている。これまでは、メチルロザニリン塩化物を主成分とした専用の皮膚マーカーペンが国内外で広く用いられてきたが、メチルロザニリン塩化物を含む医薬品には発がん性があることがわかり、日本でも2022年度末に製造・販売が停止された。そのため、近年は一般的な油性マジック、水転写シール、仮タトゥーなどが皮膚マーカーとして使用されている。しかし、放射線治療中に描いた線が薄れたり、マーカーによって子どもの皮膚がかぶれたりと、耐久性や安全性などの面でそれぞれ欠点があった。
そこで研究グループは、医薬部外品原料規格に掲載されている安全な化粧品材料から、発がん性物質を含まない「HMスキンマーカー」を開発した。このマーカーは、油性マジックに比べて約2倍の耐久性がある上、油性マジック等で報告されていた合併症も見られず、安全に使うことができるという。「消えづらく、安全な皮膚マーカーとして、医療現場で幅広く活用されることが期待される」と、研究グループは述べている。
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