厚生労働省は、20日の「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議供給情報ワーキンググループ(WG)」で、医薬品の供給不安に関する情報報告を製造販売業者に徹底し、厚労省のウェブサイトに随時公表する案を示した。報告が徹底されていない現状を踏まえ、医療現場でタイムリーに閲覧可能とすることや報告漏れを防ぎたい考えだ。
この日のWGでは、改正感染症法・医療法について、2024年4月1日施行分に向けた対応を議論した。同法では、医薬品等の感染症対策物資の国内需給状況を把握するため、国は製造販売業者から生産や販売等に関する状況報告を求めることが可能となる。
厚労省は、医療用医薬品の供給不足を踏まえ、2020年12月にも供給不足が生じる恐れがある場合は速やかに情報提供するよう日本製薬団体連合会を通じて製造販売業者に要請していたが、情報提供が徹底されておらず件数も少ないことや、報告内容が公表されていないため医療関係者が参照できないといった実態が見られていた。
また、日薬連が実施している医療用医薬品供給情報緊急調査事業に関しても、月1回の更新で情報の即時性がなかったり、代替薬に関する情報がないなどの課題があった。
そのため、厚労省は、供給情報の共有に向けた取り組みとして、製造販売業者からの供給不安報告を徹底すると共に、厚労省のウェブサイトで随時公表することを提案した。これにより、医療関係者が即時性のある供給情報を閲覧可能となること、製造販売業者から厚労省への報告の有無を外部から確認可能となるため、報告漏れを抑制できるという。
公表範囲については、個社の営業上の利益や競争政策上の観点を考慮して限定することとした。
構成員からは、「医療現場としては供給に関する情報が充実することは望ましいが、現場で活用する観点からどう活用するかの観点が必要だ。日薬連の調査についても、単に毎月公表するだけでなく、きちんと分析・整理することが重要」との意見が出た。