財政制度等審議会は20日、2024年度予算編成に関する建議をまとめ、鈴木俊一財務相に提出した。24年度診療報酬改定に向けては、財務省調査で経営状況が良好とされた診療所の報酬単価引き下げなどにより本体マイナス改定を訴えた。調剤報酬では、処方箋集中率が高い薬局に対する調剤基本料1の適用範囲見直しを要求。薬剤師がリフィル処方箋への切り替えを処方医に提案することを評価する仕組みを求めた。
建議では、診療報酬改定について、診療所の報酬単価を引き下げることなどで「本体をマイナス改定にすることが適当」と訴え、医療従事者の処遇改善についても「過度な利益が生じている診療所の報酬単価を適正化することで可能」と診療所の報酬引き下げを重ねて提言した。
一方、調剤報酬では門前薬局が大半を占める一方、薬剤師1人当たりの技術料水準はコロナ禍を除き概ね維持されていると指摘。対人業務へのシフトに向け、調剤基本料・地域支援体制加算の仕組みを見直すべきとの考え方を示した。
調剤基本料は、処方箋集中率が高い薬局であっても、集中率が低く小規模な薬局と同様に調剤基本料1が算定されている実態を踏まえ、処方箋集中率が高い薬局等に対する調剤基本料1の適用範囲等を見直すべきとした。
調剤基本料1の薬局を対象とした地域支援体制加算1・同2の要件については、処方箋集中率が高い薬局の後発品調剤割合要件の見直し、残薬への対応や減薬の提案実績を必須化するなどの措置を講じるよう求めた。
薬価については、毎年薬価改定の完全実施を要求。2年に1度しか行われない新薬創出等加算の控除などを適用するなど既収載品の算定ルールを全て適用すべきとした。イノベーションの適切な評価を行うと共に長期収載品の自己負担を見直すよう求めた。
2022年4月に導入されたリフィル処方箋については、医療費効率化効果が70億円程度にとどまる実態から、薬剤師がリフィル処方箋への切り替えを処方医に提案することを評価する仕組みなどを検討すべきと改めて強調。リフィル処方箋による適正化効果が達成されるまでの間は処方箋料の時限的引き下げなど、未達分を差し引く調整措置を講じるべきと迫った。