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胃がんの悪性度に、胃がん細胞に教育された「がん関連線維芽細胞」が関与-山梨大

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2023年11月20日 AM10:58

予後不良な胃がんに含まれる多様ながん関連線維芽細胞、その意義は?

山梨大学は11月15日、胃がん細胞の悪性度は胃がん細胞周囲の多様な間質組織から強く影響を受けており、その間質組織の多様性は胃がん細胞からの教育が生み出していることを、世界で初めて証明したと発表した。この研究は、同大大学院総合研究部医学域外科学講座第一教室の市川大輔教授、庄田勝俊助教、滝口光一臨床助教、高橋和徳臨床助教らを中心とする研究グループによるもの。研究成果は、「Annals of Surgical Oncology」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

がん組織内には、がん細胞以外に線維芽細胞をはじめとする間質組織が豊富に存在する。特に予後が不良なタイプの胃がんは、がん組織内の線維芽細胞の割合が豊富であることが以前から知られていたが、その線維芽細胞の性質がどのように生み出されるのか、また、その多様な性質が胃がん患者に及ぼす影響については明らかにされていなかった。

そこで研究グループは今回、胃がん細胞株を用いて間葉系幹細胞をがん関連線維芽細胞に分化させ、さらに切除組織を後方視的に解析し、がん関連線維芽細胞の多様性が、がんの進行に及ぼす影響を検討した。

間葉系幹細胞から分化したがん関連線維芽細胞は「分子学的に」多様だった

まず、がん関連線維芽細胞をACTA2とPDPNの発現に基づいて分類。細胞機能解析を用いて、がん関連線維芽細胞のサブタイプが、がん細胞の表現型に及ぼす影響を調べた。

さらに、胃切除を受けた胃がん患者97人の切除組織を後方視的に解析し、がん関連線維芽細胞の発現に基づいて分類された各サブタイプの臨床的意義を検討した。間葉系幹細胞と9種類の胃がん細胞株との共培養を行った結果、分化したがん関連線維芽細胞の各々が非常に多様な分子学的サブタイプを示すことが明らかになった。

ACTA2およびPDPN高発現のがん関連線維芽細胞は悪性度「高」

ACTA2およびPDPNの発現レベルが高い、がん関連線維芽細胞のサブタイプは、胃がん細胞の遊走、浸潤および増殖能を有意に増加させた。また、手術を受けた胃がん患者に関して、がん関連線維芽細胞におけるACTA2およびPDPNの高い発現レベルは有意な予後不良因子だったとしている。

がん関連線維芽細胞を標的とした新規治療開発につながる可能性

今回の研究により、胃がん細胞による教育が多様ながん関連線維芽細胞を生み出し、そのがん関連線維芽細胞の多様性が、胃がん患者における異なる予後に影響を及ぼしていることが示された。

「今後は、がん関連線維芽細胞の多様性に焦点を当てた包括的な発現解析を行う予定であり、その結果はがん関連線維芽細胞を標的とした新規治療開発につながる可能性がある」と、研究グループは述べている。

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