日本感染症学会や日本医師会、日本薬剤師会など5団体は14日、妊婦を禁忌とする新型コロナウイルス感染症治療薬の処方・調剤について、妊娠可能な世代の女性患者に行う場合は慎重に判断するよう求める合同声明を出した。服用後に妊娠が判明する事例が多数報告されている実態を踏まえたもの。
合同声明は、日本感染症学会、日本化学療法学会、日本産科婦人科学会、日本医師会、日本薬剤師会が連名で公表した。
声明では、妊婦にとって禁忌としているコロナ治療薬が処方・調剤され、その後に妊娠が判明し、患者は大きな不安を抱えて妊娠と向き合うことになっていると指摘。コロナ治療薬を処方する医師、調剤する薬剤師に対して、妊娠可能な年齢の女性に問診の結果、妊娠可能性がないと申告されても完全に排除できるものではないことに留意するよう求めた。
その上で、患者に丁寧な説明を行うと共に、妊婦に禁忌とされているコロナ治療薬を妊娠可能な世代の女性患者に処方・調剤するかどうかは慎重に判断するよう要請した。
声明では、コロナの治療を受ける女性患者向けのメッセージも公表した。コロナ治療薬の内服後に妊娠が判明した場合、大きな不安や葛藤を抱えて妊娠と向き合うことになると指摘。問診や調剤前、チェックリスト使用時には妊娠の可能性はないと申告しても、内服前に再度最近数カ月前のことを思い出し、妊娠の可能性に思い当たる節がある場合は内服を控えるよう呼びかけた。その場合、薬を保管せず、破棄するか、薬剤師に返却するよう求めた。
声明を受け、厚生労働省も同日付の事務連絡で、製造販売業者が周知している薬服用時の事前のチェックリストおよび処方された女性患者と家族向けの資材を活用すること、資材が活用され、かつ患者から服薬の同意が得られている事例でも妊娠している可能性について入念に説明、確認することを改めて求めた。