厚生労働省のデータによると、新人向けの卒後研修として実施している医療機関は約3割で、病床規模が大きい病院ほど研修が実施されている傾向がある。金沢大学附属病院などでは薬剤師の研修の一環として、能登半島北部の医療過疎地域への薬剤師出向により、地域医療を研修する仕組みもある。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「出向者のスキルアップはもちろん、大学として目指す指導的な人材養成になること、院内でより質の高い業務となる」とメリットを挙げ、評価を求めた。池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も「病院薬剤師はまだ不足しており、研修を受けることで地域に行って、地域医療を学んでくることは臨床研修医と同じような方法で病院薬剤師に魅力を感じる非常に有効な方法となる」と述べ、診療報酬で後押しするよう求めた。
松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「高度な機能を持つ病院薬剤師が地域の病院に出向して地域医療を経験する仕組みは、出向元、出向先のいずれにとっても良いことであることは十分に理解している」としつつ、「出向先病院で病棟薬剤業務実施加算を算定できる場合もあり、こうした取り組みを評価すること自体について、プラスアルファでどのようなメリットがあるのか慎重に見極めたい」とした。
一方、入院時のポリファーマシー対策で他職種と連携した取り組みを評価した薬剤総合評価調整加算を算定できない理由として「他職種によるカンファレンスを行うことが難しいため」が約6割を占めている現状を受け、森氏は「他職種とのカンファレンスの実施については一律に求める必要はない」と算定要件の緩和を求めた。
松本氏も「単純にカンファレンスの要件を一律に外すのではなく、実務的な要件に見直し、医療の質を下げないようにすると言うことであれば検討の余地はある」と条件付きで支持した。