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高コレステロール血症治療における国内初のLDLコレステロール低下siRNA製剤「レクビオ(R)」が承認-ノバルティス

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2023年11月15日 AM10:00

投薬頻度が低く患者負担が軽いsiRNA製剤

高コレステロール血症は血液中でLDLコレステロール(以下、)が高くなる疾患で、治療には厳格なLDL-Cの管理が求められる。そのため、長期的かつ確実なLDL-C低下効果を示し、投与回数が少なく良好なアドヒアランスが見込める治療薬が望まれてきた。

ノバルティスファーマ株式会社は、これらの要望に応え得る家族性高コレステロール血症および高コレステロール血症の新たな治療薬であるLDL-C低下siRNA(低分子干渉リボ核酸)製剤「(R)」(一般名:インクリシランナトリウム)が承認されたことを受け、10月 24 日(火)にメディアセミナーを開催した。


山下静也氏(ノバルティスファーマ提供)

レクビオ(R)は国内初となるLDL-Cを低下させるsiRNA製剤であり、これまでのコレステロール治療薬とは異なる作用機序を持つ。投与間隔は通常、成人には初回、3ヵ月後、以降6ヵ月に1回の皮下投与となっており、患者負担が少ない。家族性高コレステロール血症および高コレステロール血症の中でも、心血管イベントの発現リスクが高い患者への新しい治療選択肢として期待される。

セミナーには、りんくう総合医療センター理事長 山下静也氏と東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻准教授 程久美子氏、ノバルティスファーマ株式会社グローバル医薬品開発本部循環器・腎臓・代謝ユニット 瀬恒圭一郎氏が登壇。、高コレステロール血症および心疾患イベントの二次予防におけるLDL-C管理の重要性や、レクビオ(R)の適正使用について解説した。

既存薬にはない作用機序で持続的なLDL-C低下を実現

血中のLDL-C上昇にはPCSK9タンパク質が関係している。PCSK9を標的とした既存薬にはPCSK9阻害薬がある。産生されたPCSK9タンパク質を標的としたヒト抗PCSK9モノクローナル抗体で、PCSK9タンパク質がLDL受容体と結合するのを阻害することで、LDL-C上昇の要因となるLDL受容体の減少を阻害する。

一方、レクビオ(R)はそれよりも上流にあるPCSK9 mRNAを標的とし、PCSK9 mRNAを分解することでPCSK9タンパク質の産生自体を阻害する。

日本のRNA研究をリードしてきた程氏は「疾病を緩んだ蛇口から水があふれ出ている状態に例えるならば、これまでの多くの治療アプローチは水が床にこぼれたあとで拭くのに対し、siRNA製剤は水があふれる前の段階で蛇口を締めるアプローチといえる」と、その革新性を強調した。

心血管イベントのハイリスク群に対する新たな治療選択肢として期待

家族性高コレステロール血症は、生まれつき血液中のLDL-Cが異常に高く、若年期から動脈硬化が進んで、血管が細くなったり詰まったりする遺伝性疾患である。動脈硬化性疾患の発症リスクが高いことから、より厳格なLDL-Cの管理が求められている1)

日本心臓病学会評議員であり、レクビオ(R)の国内開発におけるメディカルアドバイザーの山下氏は、LDL-C高値の状態が長期に及ぶほど動脈硬化が促進されるため、一次・二次予防問わず、LDL-C値の管理は「the lower, the better(低ければ低いほど良い」と指摘する2,3)。しかし、現状では患者のLDL-C管理目標値の達成率は約25%に留まる4)との報告もあるなど課題があった。


瀬恒圭一郎氏(ノバルティスファーマ提供)

山下氏は、レクビオ(R)は臨床試験の結果において、LDL-C管理目標値を達成した被験者の割合が85%以上となり、重篤な副作用も認めらなかったと報告した。ノバルティスファーマの瀬恒氏は「レクビオ(R)は投与間隔が非常に長いため患者様の利便性に貢献できるのではないか」と期待を寄せると同時に、「レクビオ(R)で効果が認められない患者様がいた場合、投与間隔が長いため放置されてしまう危険性もはらんでいる」と注意喚起。患者の血中LDL-C値を常にモニタリングし、投与継続か中止かを適切に判断してほしいと呼びかけた。

山下氏はレクビオ(R)の対象となる患者として、「一次予防として発症リスクの高い患者さんや、糖尿病などの二次予防が必要と分類される患者さん」を挙げたが、「二次予防が必要なすべての患者さんに使うのではなく、心血管イベントの発現リスクが高い群や、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、またはHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない群に使用するのが望ましい」とした。

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