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小麦アレルギー新規抗原を発見、WDEIA診断精度の向上に期待-藤田医科大ほか

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2023年11月14日 AM10:46

二次的要因でアレルギー症状誘発のWDEIA、正確な病型鑑別診断が重要

藤田医科大学は11月13日、(wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis:)の新規抗原「α/β gliadin MM1(Tri a 21.0201)」を発見したと発表した。この研究は、同大医学部総合アレルギー科、アレルギー疾患対策医療学講座の松永佳世子教授とホーユー株式会社の研究グループによるもの。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

日本では、国民の2~3人に1人が何らかのアレルギーを持つとされており、その中でも小麦アレルギーは患者数が第4位の食物アレルギーだ。乳幼児期に小麦アレルギーを発症した場合、小麦を摂取するだけで発症する。それに対し、成長してから小麦アレルギーを発症した場合、小麦を摂取するだけでは発症せず、運動や非ステロイド性抗炎症薬などの二次的要因があったときのみ発症する、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)のケースが多くなる。WDEIAでは、小麦を摂取しても二次的要因がなければアレルギー症状が誘発されることはないことから、正確にWDEIAの病型を鑑別診断することは、患者の食事指導に重要であり、患者のQOLにも大きく影響する。

従来検査、約20%検出されない・経口負荷試験の負担などに課題

一般的に診断に使用される「ω-5 gliadin」特異的IgE抗体検査では、WDEIA患者の約80%に対して陽性診断が示されているが、約20%は検出されないことが課題としてある。「ω-5 gliadin」特異的IgE抗体が陰性のWDEIAでは、精査のために小麦摂取後に激しく運動する(必要に応じてアスピリン内服を併用する)ことで発症を確認する経口負荷試験が行われることがあるが、患者の体への負担やリスクは大きい。

α/β gliadin MM1、従来検査で検出なしWDEIA患者でも検出

今回の研究で発見した「α/β gliadin MM1」特異的IgE抗体は、「ω-5 gliadin」特異的IgE抗体検査では検出されない、残り約20%のWDEIA患者でも検出された。そのため、既存検査との併用で、これまで診断がつかなかったより多くのWDEIA患者を診断できることが期待される。また、経口負荷試験による負担やリスク回避も期待される。

「α/β gliadin MM1」特異的IgE抗体検査、保険適用外で実施可能

現在、「α/β gliadin MM1」特異的IgE抗体検査は保険適用外の検査項目だが、ホーユーのアレルギー受託解析サービスで実施することが可能だ。当該受託解析サービスは、アレルギー疾患の研究成果をいち早く臨床現場にフィードバックする施策の一環として2022年11月に開始された。同抗原に限らず、藤田医科大学とホーユーで発見された数多くの抗原がラインナップされている。

また、国際的に認められた新規抗原は、World Health Organization and International Union of Immunological Societies(WHO/IUIS) Allergen Nomenclature Sub-committeeに命名され、データベースに登録される。「α/β gliadin MM1」は「Tri a 21.0201」と命名され、2023年9月に登録された。

藤田医科大学の特色の1つであるアレルギー疾患の診療や研究などに特化した「総合アレルギーセンター」を基点とし、ホーユーが連携して今後も継続的にアレルギーに関する知見の探求を行う。また、その成果を迅速かつ積極的に社会に還元し、一人でも多くのアレルギー患者のQOL改善に貢献できるよう努めていく、と研究グループは述べている。

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