国内製薬企業の創薬力強化、ドラッグ・ラグ/ロスの解消には、長期収載品に依存した企業が研究開発型ビジネスモデルに転換するよう促す産業構造の実現が急務となっており、6月に決定した骨太の方針でも対応が求められていた。
こうした状況を踏まえ、この日の部会で厚労省は、長期収載品の保険給付見直しを中心に検討を進める方向性を提示。
具体的には、長期収載品の使用を選定療養として位置づけ、保険給付と患者の自己負担の割合を見直すことを提案した。
保険給付と選定療養の患者負担の範囲設定を議論の中心に据え、その範囲については参考として、後発品薬価を超える部分を一律全額自己負担とする「参照価格制」を例示した。
委員からは、長期収載品の使用に選定療養を採用し、自己負担率を見直す考え方に概ね賛同が得られたものの、「参照価格制度のように患者の自己負担が過度にならないよう一定の水準を設ける必要がある」とクギを刺す意見も出た。
渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、長期収載品の自己負担見直しの方向性に理解を示しつつ、「全体の2割強の品目が限定出荷や出荷停止となっており患者さんに不便をかけている中で、さらに金銭的な負担を求めるのは厳しい現状にある。どのような制度であれば運用できるのか、現場の混乱が生じないよう時期も含めて慎重な検討が必要」と訴えた。
また、選定療養となった場合についても、「患者さんの状態を見て、医療上の必要性が合理的に存在する長期収載品は保険給付対象とするなど、十分な制度設計が必要」と述べ、現場や患者目線の仕組みを求めた。
これに対し、中村さやか委員(上智大学経済学部教授)は、選定療養とした時の患者負担の範囲について「原則的には参照価格制が望ましい。長期収載品と後発品間のエビデンスの同等性や医療上の必要性による線引きをきちんと行うべき」と主張した。
一方、藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会)は「後発品の供給体制にさらに負荷がかかる懸念がある」と表明。「限りある資源を有効活用する観点からセルフメディケーションの推進も不可欠」と提案した。