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強度近視、長期的な視力・障害リスク予測の機械学習モデル開発-東京医歯大

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2023年11月13日 AM10:37

主要な失明原因「」、長期的な視力に関するAI研究は不足

東京医科歯科大学は11月9日、強度近視患者967例の臨床情報と眼底写真などの画像データを用いた機械学習モデルを開発したと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科眼科学分野の大野京子教授、Yining Wan大学院生の研究グループによるもの。研究成果は、「JAMA Ophthalmology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

近視の有病率は近年飛躍的に増加しており、2050年までには全世界の約半数が近視に、約1割が強度近視になると予測されている。病的近視とは、主に強度近視に伴いさまざまな眼底病変を発症している状態。強度近視は、日本を主とする東アジア諸国の主要な失明の原因だ。

近年では人工知能(artificial intelligence:)が著しく発展し、眼科領域におけるAIの研究成果が急速に拡大している。しかし、長期的な視力に関するAI研究は依然として不足している。

患者967例の3・5年目最高矯正視力データ+34の臨床的特徴をAI解析

今回、研究グループは、2011~2021年に東京医科歯科大学で眼科的検査を施行した、baselineからの3年目と5年目の最高矯正視力(BCVA)が記録された強度近視患者967例(1,616眼)のデータを解析。一般情報、基本的な眼科情報、眼底写真と光干渉断層計(OCT)に基づく近視性黄斑症のカテゴリーを含む34の特徴を臨床データから収集した。近視性黄斑症は、近視性網脈絡膜萎縮病変と3つのプラス病変から構成される。近視性黄斑症は、病的近視のメタ解析スタディグループ(META-PM Study Group)の診断ガイドラインに基づいて「病変なし」(カテゴリー0)、「豹紋状眼底」(カテゴリー1)、「びまん性萎縮病変」(カテゴリー2)、「限局性萎縮病変」(カテゴリー3)、「黄斑萎縮」(カテゴリー4)に分類される。

最高矯正視力予測、3年後はSVM・5年後はRFが最良予測精度を示す

まず、3年後と5年後の視力を予測するために、AIの特徴選択方法を使用して34の特徴をスクリーニングし、最も重要な特徴を選択。これら特徴を用いて、5つの機械学習モデルを開発し、予測精度を比較した。3年後のBCVAを予測するには、サポートベクターマシン(SVM)が最良の予測精度を示し(決定係数R2=0.682; 95%CI、0.625~0.733)、5年後にランダムフォレスト(RF)が最良の予測精度を示した(R2=0.66、95%CI、0.604~0.71)。

5年後視力障害リスク、ロジスティック回帰が最良予測精度で正解率0.868

続いて、選択した特徴を用いて、患者の5年後の視力障害リスク、つまり視力障害が発生、発生しないに分類する二値分類問題を予測する機械学習モデルを5種類開発し、予測精度を比較。ロジスティック回帰が最良の予測精度を示した。このモデルは正解率0.868(95%信頼区間(CI):0.823-0.901)、感度0.6(95%信頼区間(CI):0.404-0.742)、特異度0.896(95%CI:0.816-0.923)、AUC 0.87(95%CI:0.82-0.92)を達成した。

さらに、ロジスティック回帰モデルを可視化して、ノモグラムを作成。このノモグラムを使って、変数を組み合わせることで、個々の患者の5年後視力障害リスクのより正確な予後予測が可能になるとしている。

強度近視に伴う眼底病変の予防・治療貢献に期待

近視は世界的な公衆衛生問題であり、東アジアではその有病率が急速に増加している。これは病的近視の増加による近視性黄斑症、さらに重度の視力障害を招く可能性がある。今回の研究では、臨床情報および画像情報を用いて、高度近視眼の長期視力を正確に予測する機械学習モデルを開発することができることを確認した。また、個人的な視力障害リスクの予測結果を可視化できることから、患者の強度近視に伴い眼底病変に対する不安の軽減および予防や治療に貢献すると考えられる、と研究グループは述べている。

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