政府は10日、総合経済対策の裏づけとなる2023年度補正予算案を閣議決定した。供給不足が続く医療用医薬品の増産に取り組む製薬企業の製造設備や人件費の支援等の一部施策は24年度予算から前倒しで実施する。
補正予算案では厚生労働省の施策分として、1兆4151億円を計上した。医療用医薬品の供給不足対策については「医薬品安定供給体制緊急整備補助金」として14億円を充て、製薬企業の負担費用の半分を補助する。
具体的には、供給停止や限定出荷状態となっている医療上の必要性の高い医薬品(安定確保医薬品カテゴリーA~Cを想定)の増産、製造再開に必要な製造設備を支援。また、インフルエンザ等の流行で需要が逼迫している鎮咳薬、去痰薬、解熱鎮痛薬、トラネキサム酸の増産に注力している企業のうち、国からの増産要請を受けて対応する企業の人件費も支援するとした。
医療上必要不可欠な医薬品のうち、海外依存度が高い原薬等については、国内での安定供給を確保するため、企業による代替供給源の探索経費を半分補助するとして1300万円を計上した。
医薬品の供給情報を把握する最適な方法を外部の専門組織に調査を委託する事業には5000万円を計上。後発品の生産効率化促進に有効な施策を検討するため、業界団体や企業を対象とした製造能力、設備投資例等に関する調査には5400万円を充てる。
ドラッグ・ラグ/ロス解消を含めた創薬力強化に向け、小児医薬品の開発促進のため、開発支援すべき小児用医薬品のリスト作成、リストに基づく製薬企業に対する開発依頼、開発支援を行う事業に2500万円を充てる。国立成育医療研究センターにおけるアカデミア等への治療薬開発支援の体制強化には4800万円を計上した。