日本糖尿病協会は6日、日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会と連名で糖尿病治療薬の安定供給に関する要望書を厚生労働省に提出した。糖尿病治療薬であるGLP-1作動薬の限定出荷や不適切使用の状況が未だに改善していないとして、先発品、後発品の両面で薬価見直しを行うなど問題の早期解消へ向け取り組むよう国に要望した。今後、対策の検討を進める際は同協会の患者代表理事を加えて当事者の意見を聞くことも求めた。
要望書では、厚労省検討会において糖尿病治療薬であるGLP-1作動薬の限定出荷、不適切使用に対する現状把握や対策を検討していること、先発品だけでなくミグリトール、アカルボース、ミチグリニド等の採算性が厳しい後発品の不安定な供給を受け、薬価見直し等の検討が行われていることを評価した。
その上で、「状況が未だ改善しているとは言い難い」とし、現在も糖尿病医療の現場では医療者、患者双方から不安な声が寄せられているとした。医薬品の供給不足は患者のQOLに直結するものとして、問題の早期解消に向け取り組むようを促した。
また、問題解決には治療を受ける患者の視点が重要であるとし、今後検討を進める際に同協会の患者代表理事を加えて当事者の意見を聞くことを要望した。
要望書の提出に当たって、同協会の清野裕理事長は「厚労省には国内生産の推進や薬価の見直しなど、適切な対応を取ってもらい、本当に医薬品を必要とする患者が安心して治療を受ける環境を早期に実現してほしい」と述べた。
患者代表である中園徳斗士理事は、「医薬品のエンドユーザーは患者なので、行政をはじめ関係者に患者あっての医薬品であることを理解してもらい、医薬品の安定供給を検討する仕組みの中に患者も入れてもらえれば」と患者参画の必要性を強調した。