ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニン再取込阻害薬
大塚製薬株式会社と米子会社Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.は10月27日、注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療薬「センタナファジン」について、小児対象の2つのフェーズ3試験で、主要評価項目においてプラセボに対して統計的に有意な改善効果を示したと発表した。同試験結果は、後日主要な医学誌に論文として投稿する予定だとしている。
ADHDは、不注意、多動性・衝動性を特徴とする神経発達症(発達障害)。これらの脳の働きには、注意力、集中力、記憶力、協調性、社会性などの重要な機能が含まれている。米国では小児の9.8%(600万人)がADHDと推定されており、約3分の2以上の患者は大人になっても症状や困難を抱えているとされている。
センタナファジンは、小児および成人のADHD治療薬として開発中。ファースト・イン・クラスのノルエピネフリン、ドパミン、セロトニンの再取込を阻害する薬剤(norepinephrine, dopamine, serotonin reuptake inhibitor:NDSRI)だ。2020年に終了した成人を対象とした2つのフェーズ3試験では、プラセボに対して主要評価項目および主な副次評価項目において有意な改善効果を示した。忍容性は良好であり、7%以上の有害事象の報告はなかった。
ADHD評価スケール、ベースラインからの変化量で改善示す
今回発表された2つのフェーズ3試験は、13~17歳のADHD患者を対象にした「NCT05257265」と、6~12歳のADHD患者を対象にした「NCT05428033」で構成。それぞれでセンタナファジンの有効性および安全性を検討する、多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検比較試験だ。センタナファジン低用量、センタナファジン高用量、またはプラセボのいずれかを投与する3群間の固定用量で実施された。
試験結果速報では、13~17歳を対象とした試験は、主要評価項目のADHD評価スケール(ADHD-RS-5)のベースラインからの変化量で改善を示した。センタナファジン高用量群と低用量群の各平均変化量の平均値では、プラセボ群と比較して統計的に有意な改善が見られ(p=0.0099)、高用量群でも同様だった(p=0.0006)。
また、6~12歳を対象とした試験でも、主要評価項目を達成。高用量群と低用量群の各平均変化量の平均値でプラセボ群と比較して統計的に有意な改善が見られ(p=0.0039)、高用量群でも同様だった(p=0.0008)。
両試験において、センタナファジン高用量群は、ベースライン後の最初の評価時点である第1週目からプラセボ群との差を示し、その効果は試験期間中維持された。両試験ともに、センタナファジン低用量群では統計的有意差を示さなかった。なお、両試験における主な副作用は、食欲減退、悪心、発疹、疲労、上腹部痛、傾眠など。安全性および忍容性は、これまでの臨床試験で認められた同剤のプロファイルと同様だった。
進行中の臨床薬理・長期安定性試験完了後、米国で申請予定
同社は、今後さらなる試験結果の解析を進めるとしている。また、同剤の臨床薬理試験および長期安定性試験が進行中であり、これらが完了次第、米国で新薬承認申請を行う予定だとしている。
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・大塚製薬株式会社 プレスリリース