がん検診で見つかった異常、フォローアップ率向上の鍵を握るのはプライマリケア医
乳がん、子宮頸がん、大腸がん、および肺がんの検診で異常が見つかり、経過観察(フォローアップ)が必要になった患者に対してプライマリケア医が介入することで、患者が必要なフォローアップを推奨通りのタイミングで受ける可能性の高まることが、新たな臨床試験で示された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)一般内科のSteven Atlas氏らが、米国立がん研究所(NCI)と米国がん協会(ACS)の支援を受けて実施したこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月10日号に発表された。
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この臨床試験は、米国の3つのヘルスケアネットワークと提携している44カ所のプライマリケアクリニックで、2020年8月24日から2021年12月31日の間に、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、および肺がんの検診を受け、異常が1回以上認められたが、フォローアップを受けていない患者1万1,980人(年齢中央値60歳、女性64.8%)を対象にしたもの。異常が見つかったがんの中で最も多かったのは大腸がん(69%)で、次いで、子宮頸がん(22%)、乳がん(8%)、肺がん(1%)の順に多かった。
研究グループは、電子健康記録(EHR)のデータから、検診で判明した異常に対してフォローアップ検査を受けるべきタイミングを推奨するためのアルゴリズムを開発した。対象者は、1)通常のケアを受ける群、2)EHRにリマインダーが表示される群、3)EHRへのリマインダー表示に加え、2週間が経過してもフォローアップを受けない患者に手紙を送り、それでもフォローアップを受けない患者には4週間後に電話をかける群、4)2と3の介入を行い、4週間が経過してもフォローアップを受けない患者に患者ナビゲーターが電話をかける群、の4群にランダムに割り付けられた。
その結果、主要評価項目とした、試験登録から120日以内に推奨されたフォローアップを完了した患者の割合は、4番目の群(EHRリマインダー+手紙・電話+ナビゲーターによる電話)で31.4%、3番目の群(EHRリマインダー+手紙・電話)で31.0%、2番目の群(EHRリマインダー)で22.7%、1番目の群(通常ケア)で22.9%であった。また、4番目の群は1番目の群に比べて120日以内にフォローアップを完了する患者の割合が8.5%有意に高いことが示された(調整済み絶対差8.5%、95%信頼区間4.8〜12.0%、P<0.001)。さらに、240日以内にフォローアップを完了した患者の割合についての検討と、がんの種類や検診の異常結果のリスクレベル別の検討でも、同様の傾向が見られた。
Atlas氏は、「患者ががん検診受診により最大の利益を得るためには、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、あるいは肺がんの検診で異常が見つかった場合に、それを適切なタイミングでフォローアップするためのEHRを使ったリマインダーや患者に受診を促すシステムを医療機関が整える必要がある」と話す。また、同氏は、「そのようなシステムは、プライマリケアをベースに築くのが最善だとわれわれは考えている。なぜなら、全人的なアプローチを取り、がん検診や検査結果のフォローアップを含む幅広い予防医療活動を担っているのがプライマリケア医だからだ」とMGHのニュースリリースで述べている。
さらにAtlas氏は、「介入は成功したものの、フォローアップ受診率には依然として大きなギャップが存在する。予防的がん検診の効果を十分に得るためには、これらの問題に対処する必要がある」との考えを示している。
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