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【PMDA】経営陣が製造実態把握せず-オレンジレターを公表

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2023年10月25日 AM10:43

(PMDA)は、医薬品製造現場と経営陣のコミュニケーション不足により医薬品品質システムの機能不全が生じるなどの逸脱事例が確認されたとして、)を公表した。安定性モニタリングで試験計画の遅延が頻発し、30品目以上で製品品質の照査が未実施だった製造所が確認された。PMDAはオレンジレターの公表を通じて、製薬企業の経営陣が製造現場の実態を把握し、正確な情報を得られるような報告体制やシステム整備の必要性を呼びかけた。

今回のオレンジレターでは、製造現場と経営陣双方の組織内コミュニケーションの不足により、医薬品品質システムに支障が出た事例を紹介した。

製造現場から経営陣に製造現場の実態を正確に報告できていなかった事例では、慢性的な人員不足で安定性モニタリングで試験計画からの遅延が頻発。製造管理者から経営陣に正確な状況を報告しておらず、人員の補充や業務量の見直しなどの抜本的な改善措置がとられなかったため、長期間にわたって医薬品品質システムが機能不全に陥っていた。

具体的には、安定性モニタリングで試験計画からの遅延が頻発していたほか、3年以上の間、30品目以上で製品品質の照査が未実施であった。

一方、経営陣が製造現場の改善状況を把握していない事例も見られた。ある製造所では人員不足や不十分な教育による品質試験等の未実施が報告され、経営陣が人材育成・人員配置の見直しの早期検討を指示し、若干名の人員の採用は確保されたものの、人員配置の最適化や業務量増大などの課題解決に至らず、逸脱事例等の問題が継続していた。経営陣は、製造所の人員増加の事実をもって問題解決と判断し、フォローアップや改善指示が不十分なまま放置していた。

PMDAは同事例のリスクについて、「問題解決に向けた改善サイクルが機能していない場合、品質の保たれた製品を恒常的に市場に供給できず、医薬品を安定供給するという製薬企業の責務を果たせない恐れがある」と指摘。

同様の事例を防ぐため、双方の積極的なコミュニケーションや現場のフォローアップが重要とし、製造現場は現場の状況や課題、改善策を経営陣と共有する一方、経営陣は課題解決に向けた改善策を指示し、品質システムが有効に機能していることを確認するよう促した。

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