医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 【フォーミュラリ学会学術総会】地域フォーミュラリ推進へ-後発品供給不安に備え

【フォーミュラリ学会学術総会】地域フォーミュラリ推進へ-後発品供給不安に備え

読了時間:約 1分42秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年10月25日 AM10:50

日本フォーミュラリ学会学術総会が22日に都内で開かれ、シンポジウムでは行政、保険者、有識者等の各視点から地域フォーミュラリのあり方をめぐり議論した。使用推奨リストに記載された医薬品が使用患者の実態を反映していないとの指摘が出た一方、後発品の供給不安に対する対応策として地域フォーミュラリ作成を促す必要性も指摘された。

慶應義塾大学の印南一路教授は普及に向けた課題として、使用推奨リストに記載される医薬品が基本的に若年向けで、高齢患者が多い実態を反映していないと指摘し、ポリファーマシーの観点も含めたリストを作成すべきとした。

また、医師の処方権を侵害するものと誤解されないよう、日常的にコミュニケーションをとる重要性も強調した。

医療費適正化の観点から地域フォーミュラリ推進を肯定的に捉える健康保険組合連合会の松本真人理事は、「一つの疾患に類似薬が多数ある中、なぜその薬剤を処方するのか患者を納得させるためにもフォーミュラリは公開されていることが望ましい」としつつ、患者の個別性や医療における不確実性によりフォーミュラリから逸脱するケースもあるとして、その際も患者への十分な説明が必要とした。

厚生労働省医薬局総務課の太田美紀薬事企画官は、7月に厚労省が発出したフォーミュラリ運用に関する通知で、地域フォーミュラリ作成に際して関係職種や団体の連携が必要と記していることに触れ、「(薬剤師が)収載薬選定の際の有効性、安全性、経済性評価で専門性をアピールしてほしい。フォーミュラリ推進につなげられれば、地域の多職種連携も進む」と述べた。

一方、地域フォーミュラリに選定される医薬品に関しては印南氏が「実質的に後発品がメイン」と指摘するが、近年の供給不安問題の影響により選定のあり方が課題となっている。

地域の医薬品流通を担うアルフレッサの福神雄介氏は、「供給不足が生じにくい制度設計が必要だが、不足が起きた際の合理的な対処方法の一つが地域フォーミュラリだ。作成されれば、その地域における在庫が不足しないよう優先的に手を打てるので、促進する政策誘導があれば良い」とした。

後発品業界の構造問題に切り込んだ印南氏は、「一定の生産能力があり、コンプライアンスを遵守できる企業に生産を集約させるのが筋だ。企業をたくさん作るのではなく、有用な企業を育成し、コンプライアンスを守れずにすぐに売り逃げする企業は淘汰されても良い」と訴えた。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果