「安静時」脳活動異常で多数報告のCRPS、日常診療の脳波データに異常は?
畿央大学は10月20日、複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)における脳波ネットワーク異常の特徴を明らかにしたと発表した。この研究は、同大ニューロリハビリテーション研究センターの大住倫弘准教授ら、名古屋大学医学部の平田仁教授、岩月克之講師、東京大学附属病院の住谷昌彦准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Clinical EEG and Neuroscienc」に掲載されている。
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CRPSは、比較的小さな外傷や手術などが契機となり、激しい痛みが生じる。先行研究により、何らかの脳機能異常によってCRPSが増悪・長期化することが明らかになっている。特に、何もしていない「安静時」の脳活動の異常について多く報告されている。しかし、多くの研究ではfMRIやMEGなどの大掛かりな機器を使っており、日常診療で使われている脳波データではどのような異常があるのかは明らかになっていない。
CRPS患者の安静時脳波活動を測定、脳波関連パラメータと痛みの強さが有意に相関
今回の研究では、CRPSを有する者を対象に、安静時の脳波活動を計測して、脳波マイクロステート解析をした。そして、それぞれのトポグラフパターンにおけるパラメータ(Mean Duration、Time coverageなど)とCRPSによる痛みの強さとの相関関係を調べた。
研究の結果、デフォルトモードネットワークで構成されていると考えられているトポグラフパターンのパラメータと痛みの強さとの間に有意な相関関係があった。つまり、安静時のデフォルトモードネットワークの異常がCRPSの痛みを増悪させている可能性が明らかになった。加えて、初回の脳波測定日の6か月後にも脳波を計測。その結果、デフォルトモードネットワークの改善とともに痛みが緩和していることも確認された。この結果より、デフォルトモードネットワークの改善がCRPSの痛みの緩和と密接に関連していることが考えられたとしている。
今後、脳波ネットワーク異常改善のリハビリを検討
今回の研究成果により、日常診療で使われている脳波データの活用でCRPSに生じている脳波ネットワーク異常を観察できる可能性が示唆された。今後は、これらの脳波ネットワーク異常を改善させるためのリハビリテーションを検討していく、と研究グループは述べている。
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