第5期中期計画では、これまでに構築した基盤を生かしつつ、新たな課題であるドラッグラグ・ロス問題や、新規感染症のワクチンやプログラム医療機器(SaMD)をはじめ、これまでになかった革新的製品の実用化促進に注力する方針を打ち出した。
具体的には、新医薬品の審査等業務において、希少疾病用医薬品や小児用医薬品など患者ニーズの高い医薬品開発の積極的支援、海外開発先行の革新的医薬品について、日本での開発・導入に着手しやすくなる環境の整備と情報発信の強化、パンデミックに対応できる緊急時相談や審査体制の構築などを行うことを明記した。
医薬品等の開発促進に向け、情報が十分に収集されていない開発段階にある医薬品等の参考情報として、その時点における開発の方向性に関わる審査側の考えを示すことや、最新の科学的知見に基づく臨床評価ガイドラインの策定などにより、イノベーションに的確に対応した相談、審査を実施する。
後発品の審査については、安定供給確保に貢献するための迅速な審査の実施と質の向上を挙げたほか、信頼性保証の観点では、リアルワールドデータ(RWD)や新技術を用いた開発、国内治験における手続きの簡素化・負担解消を支援するための環境整備にも言及した。
安全対策業務については、患者会との連携、医薬関係者からの電子的な報告の推進など、患者・医薬関係者からの情報収集の効率化と強化を図るほか、SaMDを含む多様な医療機器の製品特性に応じた情報収集を進める。
RWDに基づく薬剤疫学分析の活用、IT技術の副作用報告分析への活用によるデジタルトランスフォーメーション(DX)化も推進する。
国際化の推進に向けては、PMDAアジア拠点の設置、アジア規制当局からの長期研修の受け入れによりアジア諸国との協力基盤を強化すると共に、米国拠点の設置などを通じて、海外のベンチャー企業に対する日本の薬事制度に関する情報発信を強化する。
次期中期計画については、2024年初めから具体案に関する複数回の議論を行い、今年度末に厚生労働省から認可を受ける見通しである。