自民党の萩生田光一政務調査会長は16日、都内で開かれたアカデミア発バイオ・ヘルスケアベンチャー協会設立記念シンポジウムで講演し、新たな感染症に対する国産ワクチン・治療薬の製造体制に自信を示した。「わが国にとって必要不可欠なものはしっかり国内で作れる体制を持つのが新しい資本主義の考え方」と述べた上で、ワクチン製造拠点整備により、「有事が起これば1億2000万人分の国内生産を可能にし、自分の国でワクチンを製造できるようになった」と強調した。
萩生田氏は、「コロナウイルスで日本がリーダーシップを発揮することはなかった。mRNAワクチンの全量を輸入に頼ることになってしまった日本を恥ずかしく思う。ワクチンを開発することができなかっただけではなく、国内で製造することもできなかった」と振り返った。
政府は、ワクチン生産体制強化に向けたバイオ医薬品製造拠点整備に3300億円を計上。
今後の変異株や新たな感染症への備えとして、平時と有事のデュアルユース設備を確保した。既に全国8カ所で運用可能な体制を保有する。
萩生田氏は「今までは官は官、民は民で分断されていたが、普段は民で活用してもらい、何か有事があれば官の事業としてそれぞれの製造工程を結集させ、事実上の官営工場となった。有事が起これば1億2000万人分の国内生産を可能にし、自分の国でワクチンを製造できるようになった」と手応えを示した。
その上で、今後はベンチャーの育成が重要な課題との認識を示し、「モデルナやファイザーのワクチンもベンチャーによって開発されたのがきっかけで、大企業が開発したわけではない。従来型の技術を支援するのではなくイノベーションに投資をし、ベンチャーを生んでいく仕組みが必要」と語った。
国はスタートアップ育成5カ年計画を策定し、創薬ベンチャーエコシステム強化事業として3500億円の予算を充てた。萩生田氏は、「国が認定したベンチャーキャピタル(VC)が出資した場合に国も支援することで、VCの出資を促進する。支援だけではなく、ベンチャーのエコシステムを目指していく」と語った。