病院薬剤師業務の広がりと現状について検討した結果では、病棟薬剤業務実施加算1を届け出ている医療機関は6割程度で、急性期病院以外では「全般的に届出割合が低かった」と分析した。
回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟では、「全般的に薬学的管理が行われているが、項目によって差があった」と指摘。その背景として、回復期病棟では「薬剤師の手が回らないこと」に困っているとの回答が最も多かった。具体的には、薬剤師が手一杯のため、退院時の服用薬説明や退院後の薬局への情報提供が十分できていなかった。
回復期病棟からの退院後の薬局への情報提供業務は、地域包括ケアの観点から重要とされているが、「薬剤師の手が回らないことによって十分に実施されていない現状があるため、早急に対応する必要がある」との指摘があり、急性期病棟でも薬剤師の配置が十分でない施設があった。
地域包括ケア病棟においても、状態の安定していない患者が一定数いる中、適切な薬物療法を提供する観点から薬剤師の配置の工夫が必要とされた。
周術期薬剤管理加算の届出を行っている施設は、全体の約1割と少なく、その理由としてやはり薬剤師が不足していることが多く挙げられており、必要な業務を十分実施できない状況にある実態が分かった。
一方、チーム医療やタスクシフト/シェア推進の中で、「病院における薬剤師業務は様々な病棟業務や周術期における薬学管理にも広がってきており、医師の負担軽減、医療の質向上への貢献の観点からも評価されている」と高く評価。「今後は外来でも取り組みを実施すべき」と、さらなる業務拡大を促す意見もあった。
この日の分科会でも、眞野成康委員(東北大学病院薬剤部長)は、「救急外来でも薬剤師が関与する医療機関が増加し、患者から服薬状況を聞き取ることでその後の薬物療法のスムーズな開始につながっている」と意義を強調。薬剤師偏在の現状にも触れ、「病院薬剤師確保に向けて、診療報酬も含めた様々な取り組みが必要」と訴えた。
山本修一委員(地域医療機能推進機構理事長)も、「病院薬剤師の確保は診療報酬でもしっかりと後押しすべき」と述べた。