調査は8月から9月末にかけてインターネットで実施し、日医会員と地域医師会会員の医療機関6773施設を対象とした。
院内処方では、入手困難な医薬品が「ある」と回答した割合は90.2%(2696件)に上り、入手困難な医薬品2096品目のうち、鎮咳薬の「メジコン錠15mg」が600件で最多となった。
医薬品卸に発注した医薬品の納入状況として、「発注しても納品されない」が49.7%(1327件)だった。
院外処方全体のうち、院外薬局からの医薬品在庫不足に関する連絡があった割合は74.0%(4187件)を占めた。入手困難な医薬品1489品目では、院内処方と同様にメジコン錠15mgが1304件で最多だった。
日薬連では、医薬品の供給状況に関する調査結果を毎月公表しているが、日医の調査結果と照合したところ、院内処方において入手困難な医薬品でも日薬連の調査でメーカーが「通常出荷」と回答していた品目の割合は32.2%(670品目)を占めた。院外処方に関しては、38.6%(574品目)だった。
今回の調査で分析等を担った神奈川県立保健福祉大学大学院の坂巻弘之教授は「メーカーが医療現場のニーズを把握しないで通常出荷していることが推測できる。国はメーカーの出荷状況についても情報提供の義務化や、医療機関や薬局の供給状況についても定期的に調べる必要がある」との見解を示した。
その他にも、院内処方・院外処方共に、内用薬における限定出荷品目の上位を去痰薬、鎮咳薬、解熱鎮痛薬が占めた。また、院外処方において、内用薬、外用薬、注射薬全てで、20店舗以上のチェーン薬局では限定出荷の品目数が少ない傾向が見られた。
調査結果を踏まえ、宮川政昭常任理事(薬事担当)は「供給が逼迫している状況では、メーカーに増産を要請するしかない。特に、感染症治療薬に関しては迅速で的確な指示を国が行うことが必要」とした。