提言では、少子高齢化が進む中での良質な医療提供体制や国民皆保険制度の維持のためには、国民が医療や医薬品との関わり方を見直す時期に来ていると指摘。そのためにも「スイッチOTC化の推進、そのプロセスにおける課題の解決が急がれる」と強調すると共に、セルフメディケーション推進が国の重要政策課題に位置づけられていることから、国に対して「スイッチOTC化の推進により一層積極的に取り組むべき」と要求した。
具体的には、政府の規制改革推進会議の答申では「スイッチOTCに関するKPIやロードマップを作成する」と明記しているものの、具体的な動きが見えないと指摘。KPI等を早期に策定し、国民のセルフメディケーション推進、健康寿命の延伸やQOLなど、大局的観点からスイッチOTC化を積極的に推進すべきとした。
また、厚労省の評価検討会議では、議論すべき論点が不明確であること、薬剤の適正使用といった点が拡大解釈されるなど、目的とそぐわない議論が多発していると指摘。予め論点を整理しておくことで同様の議論に時間を割くことを防げるとした。
スイッチOTC化の要望書を提出後も検討開始まで時間を要している成分もあることがスイッチラグの一因として、例えば提出から検討開始まで「1年以内」と期間を区切るなど、運用の見直しを求めた。
一方、日本におけるOTC薬の活用に関するエビデンス集積、それをもとに日本の医療制度に合ったOTC薬の活用方法を議論する公の場を設けることで、医師の行う専門治療とセルフケアのシナジー効果を最大限発揮する仕組み構築が重要とし、日本OTC医薬品学会の設立を求めた。スイッチOTC推進に向けた様々な課題を同学会で研究すると共に、OTC薬に関わる人材育成の場としても機能させるべきとした。
セルフメディケーション税制と連動したOTC医薬品お薬手帳の作成も提言した。確定申告の際に対象製品のレシートの合計金額をベースに申告するアナログな申請方法で同税制が運用されているため、スマートフォン等で管理できるデジタルOTCお薬手帳を国が作成し、申請も行える環境を整備することで、セルフメディケーションに対する国民の行動変容を促す必要性を訴えた。
医療用医薬品と同様の有効成分を含有するため、OTC薬でも併用禁忌に注意を払う必要があるが、現在は購入履歴を個人に紐付けたデータベースは存在しないため、デジタルOTCお薬手帳と連動した個人の購入履歴が把握できるデータベース構築を求めた。
同協会は、これら課題に向き合うことで国民のニーズが高い医薬品のOTC化促進に期待感を示した。