医療用医薬品の流通改善に関する懇談会で、流通改善ガイドライン改訂に向けた議論が進められている。「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書を踏まえ、総価取引の改善、1社流通、価格交渉代行業者などに関する事項で合意が得られたものから、来年度の取引への反映を目指す。厚労省は12月の流改懇で改訂案を提示し、合意が得られればパブリックコメント実施後、改訂版を施行予定としている。
総価取引の改善に向けては、過度な価格競争により医薬品の価値が損なわれ、結果として安定供給に支障を生じさせる恐れがある「医療上必要性が高い医薬品」を別枠とし、優先的に単品単価交渉に基づく取引を行うよう求める。
従来のガイドラインでも原則として全品目単品単価交渉に基づく契約を行うよう要請していたが、流通改善が進んでいない実態を踏まえ、医療上必要性が高い医薬品から推進していくとした。別枠に該当する品目は改訂案で示す方向だ。
一方、1社流通に関しては、日本製薬工業協会と日本ジェネリック製薬協会の加盟社を対象とした調査結果を公表。1品目でも1社流通を行っていると回答した企業は95社中64社235品目だった。希少疾患医薬品が134品目と半数強を占めた。
購入者側からは1社流通の問題点として、「価格交渉ができない。損失が出る」「既存取引卸にて取り扱いがなく、新たな卸との契約が生じるなど、手続き・管理が煩雑になる」との意見が多く上がった。
9月28日に開かれた流改懇では、1社流通にする理由が不明確との指摘も相次いだ。眞鍋雅信委員(日本医薬品卸売業連合会理事)は、「1社流通の説明責任は製薬企業にあり、説明を果たすようガイドラインに入れてほしい」と迫った。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「『薬が入りにくい』『薬局に薬が入るまでにタイムラグがある』と現場も困っている。誰のための何のための1社流通なのか。限られた施設で使うものは1社流通でいい。仮に1社流通にするにしても現場が困らないようにしてほしい」と安定供給の観点で対応を求めた。
これに対し、森英寿委員(日本製薬工業協会流通適正化委員会委員長)は、「1社流通の説明責任は聞いたが、ガイドラインに説明責任を盛り込むのは慎重に考えてほしい」と訴えた。