中央社会保険医療協議会は27日の総会で、早期アルツハイマー病(AD)治療薬として承認された「レケンビ」(一般名:レカネマブ)の薬価収載に向けた議論をスタートさせた。年間市場規模が1500億円を超える可能性があることから、2022年度薬価制度改革で示された高額医薬品に対する対応に基づき、薬価収載時の算定方法や収載後の再算定の取り扱いは新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」と同様、薬価専門部会で検討し、その結果を踏まえ総会で議論することが了承された。年内の薬価収載を目指す。
レケンビの対象患者となるADによる軽度認知障害・軽度認知症の国内推定有病者数は542万人。既存のAD薬が化学合成品であるのに対し、レケンビは抗体医薬であるため薬価が高くなることが想定され、米国では年2万6500ドル(約392万円)と高額となっている。
最適使用推進ガイドラインの策定により、使用患者は限定的になると見られるものの、薬価収載時の投与患者数予測から実際の患者数が増える可能性が考えられるため、厚労省は年間1500億円以上の市場規模を超えることが見込まれる高額医薬品に該当すると判断。今後の議論の進め方は、高額医薬品の取り扱いとして薬価算定方法を薬価専門部会で検討し、総会に報告するとした。
製造販売業者のエーザイから提出された薬価基準収載希望書では、承認審査に用いられた有効性・安全性に係る試験成績に関する資料以外に、介護費用等に基づく評価に関する内容が含まれている。
通常の薬価算定で評価していない介護費用データの評価の取り扱いについても、費用対効果評価専門部会で介護費用分析の取り扱いの議論を開始したことも踏まえ、薬価専門部会・費用対効果評価専門部会で議論し、その結果も踏まえて総会で議論する。