効能・効果は「ADによる軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」。日本では1月に承認申請を行うと共に優先審査に指定されていた。7月の米国フル承認に続き2カ国目となる。
第III相試験では、18カ月の試験期間においてプラセボ群と比べ、統計学的に有意に認知機能と日常生活機能の悪化を27%抑える結果が示された。
エーザイが製造販売元として販売を行い、エーザイとバイオジェン・ジャパンが共同販促を行う。承認条件に従い、製造販売後、一定数の症例データが集積されるまでの間は、投与された全患者を対象に特定使用成績調査を実施する。
医療関係者に対するアミロイド関連画像異常(ARIA)の管理とモニタリングの推進に向けた研修資材の展開をはじめ、添付文書に則った適正使用を推進していく方針である。
承認を受け、エーザイの内藤晴夫CEOは、「わが国においてレケンビがADの進行を抑制し、日常生活機能を維持することを示した治療薬として初めて承認され、AD治療の歴史に新たなページを開くことができたと考えている」とした上で、「必要とする当事者とその家族に適確に届けることに全力を尽くす」とのコメントを発表した。
AD研究を行う東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野の岩坪威教授は、本紙に対し、「長らく待望されていたADのメカニズムに即した治療薬が初めて承認されたことは画期的だ」とコメントを寄せ、「さらなる認知症医療の充実の第一歩となるよう学会としても努力したい」と表明した。
今後、実用化に向けて取り組むべきことについて、▽新しい治療を担当できる認知症専門医を育成し、円滑な医療提供を可能とする▽ARIA対策など安全性を確保しつつ、有効性を最大化できる医療体制を確保する▽27%の進行速度遅延という効果をさらに高めていくための研究開発を産官学一体となって推進すべきで、研究体制のさらなる充実を国も後押しする――ことを挙げた。
一方、「認知症の人と家族の会」の鎌田松代代表理事は、「治らないと言われた病気だったが、27%の進行抑制だったとしても、治る道へ道を開いてくれたことは大きな出来事」とコメントした。