医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > ディズニーのキャラクターを子どもはどう捉えている?セルフイメージとの関連を研究

ディズニーのキャラクターを子どもはどう捉えている?セルフイメージとの関連を研究

読了時間:約 3分16秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年09月25日 PM03:45

ディズニープリンセスが子どものセルフイメージに与える影響は?

ディズニープリンセスが子どものセルフイメージ(自己認識)に与える影響について心配する親は少なくないかもしれない。しかし、米カリフォルニア大学デービス校のJane Shawcroft氏らによる新たな研究で、“Let it go(何もしないでおく)”で良いとする結果が示された。この研究結果は、「Psychology of Popular Media」に8月24日掲載された。


画像提供HealthDay
写真:『アナと雪の女王』のアナ(左)とエルサ

Shawcroft氏は、「子ども向けメディアに登場するキャラクターの約60%は男性や少年だ。ディズニープリンセスは、おそらく女性や少女のキャラクターとその物語に焦点を当てた子ども向けのメディアの中で、特によく知られているものの一つだろう」と話す。そして、「ディズニープリンセスは、体型がやせ過ぎている点やジェンダー・ステレオタイプが強調され過ぎている点がしばしば批判の対象になる。しかし、われわれはメディアを取り巻く状況をより幅広く考慮した上で、そこに認められる微妙な差異や子どもたちに与える影響について考えたかった」と研究背景について説明する。

今回の研究は、メディアが子どもの発達に与える影響について調べることを目的とした進行中の研究プロジェクトの参加者から抽出された320人の子どもとその保護者を対象に実施された。対象とされた子どもの間で最も人気があったディズニープリンセスは『アナと雪の女王(原題:Frozen)』のエルサであり、次いで人気が高かったのは『モアナと伝説の海(原題:Moana)』のモアナ、その次が『アナと雪の女王』のアナだった。研究グループは、エルサやモアナの人気が高い理由について、最近の映画に登場するプリンセスであるためではないかとの見方を示している。

研究では、子どもたちが3歳半のときディズニープリンセスが子どものセルフイメージ(自己認識)に与える影響について心配する親は少なくないかもしれない。しかし、米カリフォルニア大学デービス校のJane Shawcroft氏らによる新たな研究で、“Let it go(何もしないでおく)”で良いとする結果が示された。と4歳半のときに保護者に対して、子どものボディ・エスティーム(自身の身体をどの程度好ましく思っているか、あるいは満足しているかなどの、身体に対する評価)について尋ねた。また、子どもが気に入っているおもちゃに基づき、子どもの遊びが伝統的に男の子らしいとされるものか、女の子らしいとされるものかを調べた。ディズニープリンセスは、1)やせ型、2)平均体型、3)平均以上/がっしり体型のいずれかに分類した。例えば、ジャスミンはやせ型に、モアナは平均体型に分類された。

その結果、お気に入りのプリンセスとして平均体型のプリンセスを挙げた子どもは、1年後のボディ・エスティームが高く、ジェンダーに関わらずさまざまな遊びに対してオープンであることが確認された。この結果には、プリンセスごっこをする頻度が関係しており、プリンセスごっこをする頻度が高ければ高いほど、ボディ・エスティームが高く、また男の子らしい遊びと女の子らしい遊びの両方にオープンであることが示された。Shawcroft氏は「この結果は、平均体型のプリンセスは物語の中で、高い山々を上ったり戦ったりと身体的に活発であることも関係しているのだろう。これらのプリンセスが出てくる話は、彼女たちがどう見えるかよりもその身体を使って何ができるかの方が強く描かれている」と説明する。その一方で、重要なことに、やせ型のプリンセスを好んでいることは、子どものボディ・イメージやジェンダーに特徴的な遊びに影響を与えていないことも確認された。

Shawcroft氏は、「女の子の遊びは、人形遊びやままごと遊びのように、男の子の遊びよりも穏やかなものが多く、より感情的で、ごっこ遊びの要素が多く含まれている」と説明する。一方、伝統的な男の子の遊びは「戦いごっこやレスリングなど、より荒っぽい遊びで、感情的な要素は少ない」という。その上で、さまざまなタイプのスキルの獲得に役立つため、子どもの発達には女の子の遊びと男の子の遊びの両方を組み合わせた遊びが重要であると同氏は付け加えている。

米ノースウェル・ヘルスの小児内分泌科医であるBenjamin Nwosu氏は、子どもたちにとって活動的なキャラクターは身体的な健康にも有益な影響を与えると指摘。同氏は、今回の研究の限界点として、対象者の人種が多様でないこと、親の視点に基づき子どもの行動を分析していること、対照群が設定されていないことなどを挙げつつも、同僚で小児精神科医のVictor Fornari氏とともに、メディアが子どもに与える影響について調べることは重要との見解を示している。(HealthDay News 2023年9月13日)

▼外部リンク
Ariel, Aurora, or Anna? Disney princess body size as a predictor of body esteem and gendered play in early childhood.

HealthDay
Copyright c 2023 HealthDay. All rights reserved.
※掲載記事の無断転用を禁じます。
Photo Credit: Depositphotos/faizzaki
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 果糖の摂取回避が、がんと闘う手段になり得る?-米研究
  • 変形性膝関節症、膝動脈塞栓術による血流遮断が痛み軽減に?-RSNA2024報告
  • 難治性白血病B-ALL成人患者に対する免疫療法のAucatzyl、高い奏効率を確認
  • 「乾癬」とインスタント食品などの「超加工食品」大量摂取に関連
  • ペースメーカーの再利用の機能と安全性は?7カ国で検証