海馬神経幹細胞とアストログリアを見分ける転写因子は?
東京医科大学は9月19日、学習・記憶の座をつくる海馬神経幹細胞とアストロサイトの新規サブタイプを発見したと発表した。この研究は、同大組織・神経解剖学分野の大山恭司准教授、篠原広志講師、東京医科大学病院 卒後臨床研修センターの大村捷一郎臨床研修医、同大医学科第5学年の嘉和知朋美氏らの研究グループによるもの。研究成果は、「Frontiers in Neuroscience」に掲載されている。
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海馬神経幹細胞(放射状グリア様細胞)によるニューロン新生は生後も続き、学習・記憶機能の維持に重要であることが知られている。一方、神経幹細胞とアストロサイトには多くの因子が共通して発現する。転写因子が細胞の個性を決めることが知られているが、これまで海馬神経幹細胞とアストログリアを見分ける転写因子は知られていなかった。
pSmad3とOlig2の発現で、海馬神経幹細胞とアストログリアの判別が可能
研究グループは今回、転写因子「pSmad3」と「Olig2」発現の有無を組み合わせることで、海馬における神経幹細胞とアストログリアを見分けることができることを発見した。
また、pSmad3は神経幹細胞の一部に発現すること、海馬アストログリアの多くはpSmad3とOlig2を共発現する新規アストロサイトサブタイプ(pSmad3+/Olig2+アストロサイト)であることを明らかにした。
pSmad3を発現するサブタイプがどのような機能に関わるのかの解明が必要
今後、pSmad3を発現する神経幹細胞サブタイプ、海馬pSmad3+/Olig2+アストロサイトサブタイプがどのような機能に関わっているかを明らかにする必要がある。そして将来、海馬における細胞の多様性が、多岐にわたる学習・記憶機能の細胞学的基盤になっているか興味が持たれる、と研究グループは述べている。
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