厚労省は、安定供給など企業情報の可視化や少量多品目構造の解消に向けた考え方の素案を示した。
少量多品目構造の解消に向けては、▽安定供給に貢献しない企業参入を抑制するため、収載希望を行う企業に対する安定供給に関する責任者の指定を求めると共に、継続的に供給実績を報告させる仕組みを検討▽既収載品目の企業間品目統合を促進するため、統合後の品目の増産が行いやすくなるよう製造方法の変更に係る薬事審査等の合理化を検討▽医療上の必要性や市場シェアが低いなど一定の条件に該当する品目に関する供給停止・薬価削除プロセスの効率化・合理化を検討▽新規収載品の品目数の抑制や既収載品の品目数の削減など安定供給の確保に資するような薬価制度など制度的枠組みを検討――の4点を打ち出した。
供給停止・薬価削除プロセスについては、厚労省が医療現場や学会の意見を聞いた上で判断する仕組みとなっている。前回の議論で「ある成分について、最後まで薬価掲載している企業が金銭的に損をすることは避けるべきであり、そのような企業の利益が確保できることが必要」との意見が出ていた。
この日の検討会でも構成員から、「安定供給に支障がないよう慎重に考えるべき」「採算だけを見て売り逃げする企業を助長するようなことがあってはいけない」との意見が上がった。
一方、企業情報の可視化に向けて開示すべき情報については、共同開発の有無などの安定供給体制や出荷停止事例などの供給状況、自社の情報提供状況などの項目を提示。情報ごとに公表時期を設定し、限定出荷などの供給情報は随時更新することとした。
可視化する情報を含め企業評価に関する制度設計は「適切な医薬品開発環境・安定供給および流通環境の維持・向上に関する研究」(研究代表者:北里大学薬学部成川衛教授)の研究成果を踏まえ検討する。
企業から厚労省に提出される情報をもとに企業評価を行い、企業に求められる最低限の基準を満たさない場合は低い評価とし、他社の出荷停止品目に対する増産対応など業界全体の安定供給への貢献に関する情報の指標を満たす場合は高い評価とするメリハリをつけ安定供給体制を評価し、薬価制度など制度的な枠組みに活用する方向性を示した。