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両側一次運動野へのtDCS刺激、上肢機能の興奮性を高め同時収縮も抑制-畿央大ほか

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2023年09月19日 AM10:50

」が両側の一次運動野に及ぼす影響は?

畿央大学は9月15日、Bi-tDCSを併用した上肢トレーニングが及ぼす影響について検証し、その結果を発表した。この研究は、同大大学院博士後期課程の蓮井成人氏、森岡周教授らと、宝塚リハビリテーション病院の芝貴裕氏、日本福祉大学の水田直道助教との共同研究グループによるもの。研究成果は、「Frontiers rehabilitation science」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

脳卒中後の上肢運動麻痺は日常生活を阻害する。上肢運動麻痺では遠位部の回復が遅れることが多く、異常なパターンが残る。指を伸ばす筋肉の改善が上肢運動麻痺の回復の指標とされ、損傷半球の皮質脊髄路が運動機能回復に重要とされる一方で、脳卒中後は主動作筋と拮抗筋の同時収縮を認め、選択的な運動が失われることがある。

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、非侵襲的に大脳皮質活動を高める方法として用いられている。しかし、両側の一次運動野へのtDCS刺激が損傷側一次運動野へのtDCS刺激よりも効果的であるか否かは不明だ。また、亜急性期脳卒中患者における上肢運動時の遠位筋活動パターンや皮質脊髄路の興奮性に対する効果については明らかにされていない。そこで研究グループは、上肢遠位に重度運動麻痺を有する脳卒中患者を対象に、両側の一次運動野へのtDCSを併用したトレーニングを実施し、その効果を検証した。

重度の運動麻痺の脳卒中患者に、両側一次運動野へのtDCS併用トレーニングを実施

研究では、核磁気共鳴画像で右中大脳動脈に高信号の反応を示し、左上下肢麻痺を呈した脳卒中患者1人を対象とした。発症3週間後の上肢のFMAスコアは38点だったが、手関節2点、手指0点と、重度の運動麻痺を有していた。

その後、A期では損傷側一次運動野へのtDCS刺激、B期では両側の一次運動野への刺激を併用しながら上肢トレーニングを行った。各セッションは1週間で、その間に3日間の偽刺激を行った。評価時期は各セッション前後とし、上肢機能はBox and Block Test(BBT)、Fugl-Meyer Assessment(FMA)、総指伸筋と浅指屈筋の筋活動および筋内コヒーレンス(β帯域:皮質脊髄路の興奮性を反映)とした。

BBT/FMAスコアが改善、選択的運動に必要な筋活動などの興奮性増、同時収縮減

その結果、BBTスコア、FMAともに改善していった。また、EMGデータ解析の結果では、bihemispheric tDCSでは他のフェーズよりも有意に筋活動が上昇。加えて、総指伸筋-浅指伸筋の共収縮指数は、bihemispheric tDCSで減少したという。

さらに、手指運動時の活動筋-活動筋、活動筋-拮抗筋のコヒーレンスの結果は、bihemispheric tDCSは選択的運動に必要な筋活動や皮質脊髄路の興奮性増加、同時収縮を減少させることを示した。また、両側刺激は手関節と手指の総指伸筋-総指伸筋コヒーレンスを増加させ、総指伸筋-浅指屈筋の活動を減少させたとしている。

麻痺の重度に合わせたtDCS刺激の効果を、多くの症例で検証していくことが必要

今回の研究では、上肢遠位に重度の運動麻痺を有する脳卒中患者を対象に、両側の一次運動野へのtDCSを併用した上肢トレーニングが上肢機能や手関節及び手指運動時の皮質脊髄路興奮性や同時収縮に及ぼす影響について検証された。その結果、両側の一次運動野へのtDCSの併用がFugl-Meyer AssessmentやBox and Block Test、筋活動および皮質脊髄路興奮性を増加させ、同時収縮を減少させることが明らかになった。

「今後は多くの症例を対象に、運動麻痺の重症度に合わせたtDCSの刺激方法によって上肢機能や皮質脊髄路興奮性に影響を及ぼすのかについて検証していく必要がある」と、研究グループは述べている。

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