2007年に発出された課長通知で国際共同治験に参加するためには、「原則として日本人の第I相試験が必要」とされている。通知案では、国際共同治験開始前の第I相試験については、人種・民族や国・地域ごとに実施することが必須となるものではないと明記。原則として日本人での第I相試験を追加実施する必要はないとの考え方を示した。
第I相試験を国際共同治験として実施する場合には、日本がその第I相試験から参画するなど可能な限り日本人における薬物動態等に関する情報を収集することが望ましいと記載した。
安全性の懸念がない場合はドラッグラグ・ロス解消のために第I相試験を省略できるとしたものの、早期段階で日本人データを確認することは科学的に意義があるとした。
当局からは原則として、実施を求めないものの、各企業が個別品目ごとに医薬品のリスクの大きさ、民族的要因の影響の受けやすさなどを踏まえたリスクベースの検討に基づき、第I相試験の実施要否を判断することは従来と同様に必要とした。
個別品目において日本人第I相が必要であるかを判断する際の考え方も提示した。オーファンドラッグや小児用医薬品などアンメットメディカルニーズが高いものは、適切なインフォームドコンセントを得た上で日本人第I相を実施せずとも国際共同治験に参加可能とした。
その他の品目においても、非臨床データや海外で先行する臨床試験で複数の人種での結果を踏まえ、薬物動態や安全性のデータで民族差が認められていない場合など、少なくとも日本人治験参加者の安全性が臨床的に許容・管理可能であると判断できる場合も第I相を省略できるとの見解を示した。
一方で、抗癌剤など重篤な有害事象が高頻度に生じることが想定され、安全域の狭い医薬品で年齢層や適応によらず、日本人での投与経験がない場合など安全性情報が限られている医薬品は“原則の例外”として、日本人第I相試験の要否について、より慎重に判断する必要があるとした。
日本における患者数が多く、国際共同治験の実施まで日本人第I相試験を実施する時間的余裕が十分にある場合など、日本人第I相試験の実施可能性があると判断した場合には、日本人第I相試験の実施を検討することが望ましいと推奨した。