調査は、製薬協薬事委員会に加盟する内資45社、外資19社の計64社を対象に4~5月にかけて開発プロジェクトの現況を聞いたもの。3月末時点で治験計画届出から申請中の段階にある開発中のプロジェクト数は976プロジェクトで、内訳は内資が294件、外資が682件となった。漸増傾向にあった開発プロジェクト数は約1割減少した。
内訳は、生物製剤が45%、生物製剤以外が51%、再生医療等医薬品が4%。新有効成分の開発プロジェクトは52%を占めた。開発疾患領域は抗癌剤の割合が高く、全体で43%、外資系で41%、内資系で35%となった。
グローバル開発品目数は864品目と全体の89%を占め、国際共同治験を含むプロジェクトの割合はわずかに増加し、国内治験のみのプロジェクトの割合はやや減少した。内資系ではグローバル開発品目の割合が昨年の74%から68%とやや減少し、日本ローカル開発品目の割合は23%から28%と増加した。
一方、日本での小児開発状況を見てみると、小児開発を検討していない企業が57%を占め、そのうち約4割が開発予定がないと回答した。
小児適応で開発中のプロジェクトは全体の約2割にとどまり、外資・内資に差はなかった。開発の検討時期は「欧米に合わせる」との回答が58%で外資に多かった。開発プロジェクトの約8割以上が医薬品医療機器総合機構(PMDA)相談を実施し、そのほとんどで開発計画が受け入れられていた。
小児向け開発を促進していくためには、海外臨床試験成績やモデル&シミュレーションなどの活用、低年齢患者への外挿、小児用剤形や企業へのインセンティブなどの要望も数多く見られ、臨床試験の緩和や薬価など、企業が開発を検討するための様々な方策が必要との現状も指摘された。
日本人を含む第I相試験は、全体の約6割で実施・実施予定となっており、そのうち半数が国内試験だった。特に抗癌剤以外のプロジェクトや内資における国内試験の割合が高かった。
日本人第I相試験のタイミングは海外第I相開始後が28%、海外第I相終了後が27%、海外第I相と同時が20%となり、抗癌剤と外資系が実施する日本人第I相においては海外開始後、海外と同時開始が多かった。新有効成分のうち13%は日本人第I相試験を実施していなかった。
リアルワールドデータ(RWD)の利活用も進んでいない。21年の調査開始時から増えておらず、今回の調査では、わずか5%程度にとどまった。
そのうち、承認申請への活用を検討しているプロジェクト数は20件。適切なデータベースがない、適切なDBがあっても信頼性へのハードルの高さなどが挙げられ、RWDを利用するメリットが見出しにくい現状も浮かび上がった。