「一般用検査薬の一般原則」では、尿検体や糞便、唾液など侵襲性のないものが検体として対象となっており、尿糖・尿蛋白・妊娠検査・排卵日予測検査などに限られている。自己採血による穿刺血を用いた検査は、医師の指導管理のもと、自宅で穿刺血を採取して血糖測定する血糖自己測定などがあるが、一般用検査薬の検体種としては認められていない。
厚労省は、一般原則で対象外となっている低侵襲性の自己採血の穿刺血について「自らの健康状態を知ることやその選択肢を提供することができるのではないか」と提起。一般原則を改訂し検体種として対象とすることの是非を議論した。
OTC薬協の磯部総一郎理事長は、「医療機関のない地域や患者が診察に行けない時など、オンライン診療で対応することもある。OTC検査薬などを活用したセルフモニタリングやセルフチェックの必要性があるのではないか」と述べた。
その上で、「OTC検査薬の結果は医師・薬剤師にフィードバックすることにより、的確な診療・服薬指導につなげることができる」と意義を強調した。
これに対し、宮川政昭委員(日本医師会常任理事)は、「抗血小板薬や抗凝固薬を服用している患者が自己採血し、血を止めにくくなるような事故になった場合に、果たして医療へと結びつけられるのか。いたずらに穿刺血を盛り込むのは非常に危険」と述べた。
また、医薬品販売制度実態把握調査では、薬局や店舗販売業で新型コロナウイルス抗原定性検査キット販売時における情報提供の遵守率が低かったことを問題視。
「薬剤師による説明ができていない中で販売されているのは、非常に由々しき状況」と懸念を示し、薬局での販売体制整備が先決との考えを述べた。
一部の委員からはOTC化に賛同する意見があったが、使用者に対する血液の採取方法や感染リスクの周知、穿刺血付着機器の廃棄などの対応に加え、OTC検査薬で得られた結果の解釈など、評価方法に関する課題の指摘が相次いだ。
日本薬剤師会の山本信夫会長は、6日の定例会見で「自分たちで自分たちの健康を守るのは必要な議論」と歓迎した一方、「血液を使うセルフケアはあるかもしれないが、勢いに任せてやると危険。検体測定室と似たような問題が起きるのではないか」と述べ、OTC化に向けては慎重な対応が必要との考えを示した。