女性での長寿の鍵は60歳以降の体重の維持?
女性では、60歳以降に体重を一定に保つことで、90歳、95歳、あるいは100歳という長寿を望める可能性の高まることが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)Herbert Wertheim School of Public Health and Human Longevity ScienceのAladdin Shadyab氏らによる研究で明らかにされた。体重が安定している年配女性は、体重が5%以上減少した女性よりも1.2倍から2倍の確率で90〜100歳という長寿を得ていることが示されたという。この研究の詳細は、「Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences and Medical Sciences」に8月29日掲載された。
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この研究では、Women’s Health Initiativeのデータを用いて、女性での60歳以降の体重変動と、90・95・100歳までの生存との関連が検討された。対象者は、1932年2月19日以前に生まれ、試験登録時(ベースライン)とその3年後、および10年後に測定した体重データがそろう61〜81歳の5万4,783人で、2022年2月19日まで追跡された。対象者は体重の増減に基づき、体重減少群(ベースラインから5%以上の減少)、体重増加群(ベースラインから5%以上の増加)、体重維持群(ベースラインからの体重の増減が5%未満)の3群に分類された。体重減少については、それが意図的なものであるかどうかが、ベースラインから3年後の調査時に確認されていた。この3年後の調査から1年以内に死亡した346人を除外した5万4,437人が最終的な解析対象とされた。
解析の結果、ベースラインから3年後では、体重減少群では体重維持群に比べて、90歳まで生きる可能性が33%(オッズ比0.67、95%信頼区間0.64〜0.71)、95歳まで生きる可能性が35%(同0.65、0.60〜0.71)、100歳まで生きる可能性が38%(同0.62、0.49〜0.78)、有意に低いことが明らかになった。同様に、ベースラインから10年後では、体重減少群では体重維持群に比べて、90歳まで生きる可能性が40%(同0.60、0.52〜0.69)、95歳まで生きる可能性が49%(0.51、0.41〜0.63)、有意に低かった。これらのオッズ比に基づくと、体重維持群が90〜100歳まで生きる可能性は体重減少群の1.2〜2倍であると計算された。
体重減少と長寿との関連は、体重減少が意図的でなかった場合に、より顕著であった。例えば、ベースラインから3年後では、体重減少群のうち、減量が意図的であった人では90歳まで生きる可能性が体重維持群よりも17%低かったのに対し、減量が意図的でなかった人では51%も低いことが示された。
一方、体重の増加に関しては、3年後の時点では、90歳、95歳、100歳までの生存に関して、体重増加群と体重維持群との間に有意な差は認められなかった。また、10年後の時点でも、90歳、95歳までの生存に関して、両群間で有意な差は認められなかった。
Shadyab氏は、「米国では、加齢に伴いBMIが25〜35の過体重や肥満に該当するようになる女性が非常に多い。しかし、この研究結果は、年配の女性が長寿を望むのであれば、体重の維持を目標とするべきことを裏付けるものだ」と話す。同氏はさらに、「年配の女性での意図しない体重減少は、健康に問題が生じていることを知らせるサインであり、寿命短縮の予測因子と見なせる可能性がある」と同大学のニュースリリースで語っている。
研究グループは、「この結果から判断すると、年配の女性に対して一般的に推奨されている減量は、長寿には役立たない可能性がある。ただし、健康や生活の質を改善するために適度な減量が推奨されている場合には、その医学的助言に耳を傾けるべきだ」と述べている。
なお、本研究は、米国立衛生研究所(NIH)、米国立心肺血液研究所(NHLBI)、米国保健社会福祉省から一部資金提供を受けて実施された。
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