調査は、薬局・薬店が店舗やインターネットで要指導医薬品や一般用医薬品が適正に販売しているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施。今回は、3054店舗(薬局1376件、店舗販売業1678軒件)、インターネット販売サイト505件を対象とした。
調査では、薬局17件と店舗販売業1221件の計1238件を対象に、エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)など濫用等の恐れのある医薬品を複数購入しようとした際の対応を尋ねた。
その結果、「一つしか購入できなかった」62.7%、「複数必要な理由を伝えたところ購入できた」13.8%を合わせた「販売方法が適切だった」は76.5%で、前年度より5.5ポイント低下。特に薬局は47.1%と前年度から38.1ポイント低下し、同調査項目を設けた14年度からの9年間で最も低い数値となった。店舗販売業でも5.0ポイント低下し76.9%となった。
一方、インターネット販売で濫用等の恐れのある医薬品を複数購入しようとした時の対応については、販売方法が適切だった割合は前年度の67.0%から82.0%と大幅に改善した。
この結果について、医薬局総務課は「薬局での遵守率が低下している」と受け止め、対象薬局数が少なかったことで調査結果に反映されやすくなったとした上で、業界団体等を通じて遵守すべき事項を徹底するよう改めて求めていく考えを示した。
厚労省の「医薬品の販売制度に関する検討会」では、濫用等の恐れのある医薬品をテーマの一つとして議論を進めている中、今回の調査結果を材料とするかに関しては未定とした。
一方、今回の調査から、薬局等でOTC医薬品として販売されている新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売時における情報提供の実施状況も質問項目に加えた。
薬局158件、店舗販売業56件を対象に「偽陰性の可能性があること」を尋ねたところ、70.6%が情報提供を行っておらず、その他にも「陰性であっても感染対策を行うこと」87.9%、「症状がある場合の受診勧奨」75.2%など、情報提供を行っていない割合が高い項目が複数確認された。薬局、店舗販売業ともに、最も情報提供を行っていなかった割合が高い項目は「陰性であっても感染対策を行うこと」だった。