中央社会保険医療協議会薬価専門部会は8月30日、2024年度薬価制度改革に向け、医薬品流通に関する課題などを議論した。調整幅のあり方をめぐっては診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)が「調整幅2%から見直すべきでない」と主張したのに対し、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「2%に固定されているのは疑問」との考えを示した。
森氏は「2%と設定された当初と比べても管理コストなどが上昇している。毎年改定や医薬品の供給問題で調整幅が必要であり、現状から見直すべきではない」と述べた。
松本氏は、調整幅2%が固定されていることに疑問を呈し、「乖離率だけではなく、乖離額も考慮する必要がある」と述べた。
また、診療報酬改定がない年度の薬価改定については、診療側委員から「過去2回の中間年改定で安定供給やドラッグラグ・ロスを起こしていないかを検討し、慎重な対応が必要」と見直しを求めたのに対して、支払側委員は「中間年改定でも新薬創出等加算の累積控除を行うべき」とさらなる医療費適正化を要求した。
一方、緊急承認された新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」については、現在本承認に向けた審査が進められているが、本承認時の薬価算定方法は秋以降に議論することで了承が得られた。
今回の会合で24年度薬価制度改革に向けた課題整理は一巡したこととなり、10~11月に新薬や長期収載品、後発品など各テーマで対応の方向性を議論する。