東京都は、都民を対象にした薬物乱用に対する意識調査の結果を公表し、8割以上の人が「市販薬の過剰摂取により、重篤な健康被害を引き起こす」ことを認知していたことが分かった。過剰摂取をすべきでないとの回答も9割超となった一方、「知っている乱用薬物」として市販薬は大麻や覚醒剤等よりも3~4割ほど認知率が低かった。
都は薬物乱用対策の参考とするため、薬物に対する意識や乱用防止に関する都の施策について、インターネット上で18歳以上の都民489人を対象に調査を実施した。
調査では、市販薬の過剰摂取が社会問題化していることを踏まえ、市販薬に関する質問項目を新設。市販薬の過剰摂取について知っていることを尋ねると、「過剰摂取により、重篤な健康被害を引き起こすことがある」との回答が83.0%で最も多く、次いで「市販薬の成分によっては依存症になることがある」59.7%、「生きづらさなどの心理的孤立による自暴自棄・不安解消から過剰摂取することが多い」55.4%などが続いた。
危険性に関しては、「命を落とす危険性がある」「重篤な健康被害を起こす危険性がある」と認識している人は9割を超えた。
乱用薬物として市販薬を認識していたのは57.3%で、認知度上位の大麻99.6%、覚醒剤98.4%、コカイン94.5%と比べて低い水準にとどまった。
市販薬の過剰摂取について、「すべきでない」が96.1%を占めた一方、「個人の自由である」2.0%、「時々なら構わない」1.0%との回答も見られた。市販薬の過剰摂取を「すべきでない」と回答しなかった19人に理由を尋ねたところ、「自己責任」が57.9%、「市販薬は違法薬物ではない」が26.3%、「市販薬は安全」26.3%などの回答が見られた。
一方、若者への薬物乱用防止の啓発活動について効果的だと思うものについては、「SNSによる情報発信」が63.2%で前回2018年調査時の42.3%から大きく数値を伸ばした。