日本病院薬剤師会の武田泰生会長と日本薬剤師会の山本信夫会長は、薬剤師俸給表の創設など病院薬剤師の処遇改善に関する要望書を、加藤勝信厚生労働相宛てに提出した。
7月24日に、城克文医薬・生活衛生局長を通じて要望したもの。医療職俸給表(二)には、栄養士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士等と共に薬剤師が適用されている。要望書では、薬剤師の初任給が6年間の専門教育を必須とする医師、歯科医師と比較して大きく下回っていると指摘。医師・歯科医師には初任給調整手当が適用されている一方で、薬剤師には適用がないため、薬剤師に対する初任給調整手当の適用も求めた。
勤務薬剤師の給与は国家公務員の俸給表(医療職俸給表〈二〉)を使用するか、それに準拠して設定されていることが多く、薬局薬剤師との初任給額の格差が生じていることなどが報告されている。
病院薬剤師と薬局薬剤師の初任給額について、病院では平均372万7000円、薬局では平均415万3000円と平均値で40万円以上の差も見られている。病院薬剤師と薬局薬剤師の給与は、全体として病院薬剤師の年収が薬局薬剤師を若干上回るものの、管理薬剤師と比較すると大きく下回っている状況にあることから、病院・診療所で薬剤師が採用できない現象を引き起こす主な要因の一つとなっている。
日薬の山本信夫会長は9日の定例会見で、要望の実現については「容易ではない」としながらも、「病院薬剤師が病院の中で働いていることは評価しなくてはいけない。少しでも良い給与体系で働けるようにすることで薬物療法の質が上がっていく」と述べた。